宮城県栗原市花山の秘湯、温湯(ぬるゆ)温泉「佐藤旅館」。2008年の岩手・宮城内陸地震で被災して以来、休業を余儀なくされていた。その佐藤旅館が、2020年11月12日、12年ぶりに日帰り入浴の営業を再開した。

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全国の秘湯ファンに愛されてきた佐藤旅館

宮城県栗原市花山。一迫川沿いに佇む秘湯。温湯温泉・佐藤旅館。

2020年11月12日、日帰り温泉として、新たなスタートの日を迎えた。宮城県内外から訪れた客が、早速、かけ流しの温泉を楽しんだ。

仙台から訪れた人:
体が芯から温まるような温度で、なめらかで気持ちよい

山形から訪れた人:
とても気持ち良くて、幸せな気持ちになりました

佐藤旅館を再開させた阿部幹司さん(48)。花山で太陽光発電施設を管理する会社を経営している。2018年、佐藤旅館の主人から業務を引き受け、館内を補修して再開の準備を進めてきた。

阿部幹司さん:
ほっとした。やっとここまで迎えられた。ワクワクしている

歴史ある「佐藤旅館」。明治から大正時代に建てられた木造の旧館は、全国の秘湯ファンに愛されてきた。しかし、2008年の岩手・宮城内陸地震で被災し、休業。被害の大きかった旧館は解体された。

それでも、当時、主人を務めていた佐藤研一さんは、営業再開を目指していた。

佐藤旅館 阿部研一さん(2010年取材)
諦めちゃいけないなと思った。やっぱり絶やしたくない

旅館復活へ、受け継がれる思い

再開に向けて補修工事が終わったばかりの2011年。東日本大震災が発生。資金面の見通しが立たず、再び、再開が難しくなった。

阿部さんは4年前に佐藤さんと出会い、旅館復活への思いに触れ、業務委託を受けることを決断した。

阿部幹司さん:
佐藤さんから『震災でどうしても自力では再開が難しい』という話をいただいて、そこまで心をひらいて話してくれることを意気に感じて取り組んでみようと思った。佐藤旅館は花山のみなさんや栗原のみなさんの心の拠り所、ふるさと。そういう存在に値する「宝物」

2020年6月には、旅館業の営業許可を取得。

寺田アナウンサー:
昔の風情は残した?

阿部幹司さん:
階段の手すり、使い込んだ柱の色は、佐藤旅館の歴史そのもの

阿部さんの新たな挑戦 日帰り入浴スタート

2階建ての建物には全部で11の客室があり、宿泊受け入れの準備も整えてきたが、新型コロナの収束が見通せないため、まずは、日帰り入浴だけのスタート。

家族も、阿部さんの新たな挑戦を応援している。

妻・幸子さん(42)
旅館では主に掃除をバックアップして、一人一人、真心込めて、おもてなしできたらと思う

阿部さんに旅館を託した佐藤さんは、今、栗原市内の別の場所で暮らしている。
阿部さんにとって、一番の相談相手。

阿部幹司さん:
佐藤さんは「あとは、もう任せるから」と言っていただいる。本当にうれしい

事務所には、内陸地震直後の佐藤さんの文字が残っている。
『2008年6月14日大地震』。

阿部幹司さん:
これはずっととっておく。どんなに時間がかかっても、復興を成し遂げるという思いが込められているのではないかと思っている。あの日のことを忘れない…

12年分の思いを継いで…。佐藤旅館が復活した。

日帰り入浴…午前10時~午後7時39分。木曜定休。
料金は大人500円、18歳以下は来年3月末まで無料。
連絡先は、佐藤旅館 電話0228-56-2251

(仙台放送)