去年7月、和歌山市内の自宅で2歳の娘を虐待し、治療を受けさせずに死亡させた罪に問われている両親の裁判。
きょう=3日、法廷で父親の晴流被告が「(流菜ちゃんは)とても苦しくて、怖かったと思います。悔いても悔いきれないです」と述べました。
平晴流被告(26)と妻の菜々美被告(26)は長女の流菜ちゃん(当時2歳)に暴力を振るうなどの虐待をし、十分な食事を与えなかった上、適切な治療も受けさせずに、死亡させた保護責任者遺棄致死の罪に問われています。
2人は初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めています。
■“仲のいい家族の姿”を動画投稿 かけ離れた“実態”が法廷で明らかに
家庭内で起きた事件の背景には一体、何があったのでしょうか。
【晴流被告(本人のYouTube動画より】「こんにちは。マルコメFAMIRYです(※本人による表記ママ)」「きょう、サンタさん来るかな、流菜」
サンタクロースの格好をして子どもたちにクリスマスプレゼントを渡す晴流被告。
そこには、おもちゃに興味を示す流菜ちゃんの姿も。
動画投稿サイトなどで家族仲をアピールしていた両親。
【2人の中学時代の同級生】「ティックトックとかYouTubeでは見ていたので」「仲いいのかなと思っていたのですけど、びっくりです」
しかし裁判では、「仲の良い家族像」とはあまりにもかけ離れた実態が次々と明らかになりました。
■死亡時には平均体重の半分に 衰弱する流菜ちゃんを「あほ」と呼び…
死亡した時には、2歳児の平均体重の半分ほどのおよそ6キロと痩せ細り下あごの皮膚が裂けていたという流菜ちゃん。
両親は流菜ちゃんが亡くなる直前、LINEでこんなやり取りをしていました。
流菜ちゃんが死亡する3日前の去年7月7日、晴流被告は菜々美被告に「(流菜ちゃんは)体内おかしくなってきてるんじゃない?そろそろ腸内つぶれる」と送信。
その翌日、晴流被告が「あほどう?」と送ると、菜々美被告は「あほは水飲ませて寝かせているよ」と返信していました。
虐待によって衰弱するわが子を「あほ」と呼んでいた2人。
■父・晴流被告の被告人質問 「自分も虐待受けて過ごしてきたので…」
きょう=3日の被告人質問で、虐待について晴流被告は…
【弁護人】「2人が暴力していたのは間違いない?」
【晴流被告】「はい」
【弁護人】「あなたはいつから?」
【晴流被告】「1歳半から去年6月まで。やりづらさや、言うこと聞かないとか、外出すると泣きわめき、泣き止まなかったり、他の客に迷惑をかけたりするからです」
【弁護人】「どんな暴力?」
【晴流被告】「ゲンコツ。手加減はしていましたし、蚊とか虫を殺すくらいの勢い。自分も虐待を受けて過ごしてきたので『これくらいなら大丈夫だろう』という気持ちでした」
一方で、菜々美被告の暴行については…
【晴流被告】「流石にやり過ぎやと思いました」
【弁護人】「強く注意しようとは?」
【晴流被告】「思わなかったです」
法廷で、晴流被告は、菜々美被告の供述に涙を流す場面もありましたが、2人は目を合わせることはありませんでした。
■「(食事を)あげようと思っても顔を見るのが嫌で…」 菜々美被告が語った食事制限の経緯
一方、妻・菜々美被告に対する被告人質問も2日に引き続き行われました。
容姿にコンプレックスを抱えていて、流菜ちゃんが自身に似ていると親族に言われたことが、“虐待のきっかけ”だったと話す菜々美被告。
検察側は冒頭陳述で、おととし9月ごろから、流菜ちゃん対しての暴行や家での置き去りが始まったと指摘しています。
3日の法廷では、その際の流菜ちゃんの食事について検察側が質問。
【検察官】「1人で冷蔵庫まで行って食べ物を食べられる状態だったのか」
【菜々美被告】「流菜は寝室の扉を自分で開けることができないのでその中で遊んでいたと思います」
布団の上には水が入ったマグカップを置いていたと話し、流菜ちゃんは1人で空腹に耐えていたとみられます。
さらに虐待はエスカレートし、菜々美被告は流菜ちゃんの食事を減らすように…
【弁護人】「食事制限はあはたが決めた?」
【菜々美被告】「あげようと思っても顔を見るのがいやで」
その結果、流菜ちゃんは食事を受けつけない状態に。
それでも、「粉ミルクを与えれば回復すると思っていた」と話した菜々美被告。
そして、食事を与えていなかったことを晴流被告も知っていたはずだと話しました。
【検察官】「晴流被告は流菜ちゃんがやせていることを知っていましたか?」
【菜々美被告】「知っていたと思います」
【検察官】「根拠は?」
【菜々美被告】「風呂に入れるのが夫だったので気付いていると思います」
■「『ごめんなさい』と頭の中で言うのが日課に…」
さらに検察側から、今後、事件について、どう向き合っていくかと問われると…
【菜々美被告】「毎日、流菜のことを頭で考えて『ごめんなさい』と頭の中で言うのが日課となっています。一生忘れずに生きていきたいと思っています」
晴流被告の被告人質問は来週も行われ、判決は今月15日に言い渡されます。
■西脇弁護士 「命を奪う危険性の大きさを裁判員が冷静に判断してほしい」
この裁判について、元テレビ朝日アナウンサーで刑事弁護にも取り組む西脇亨輔弁護士は、「保護すべき立場でありながら放置して死に至った「保護責任者遺棄致死」という罪で問われているが、そのなかでも命を奪う危険性の大きさを裁判員が冷静に判断してほしい」と指摘。
さらに、それぞれの量刑=刑罰の重さについては「直接手を下した(虐待行為を加えた)人間の情状が悪くなると同時に、同じ親として、目の前にして何もしなかった、そこも大きな罪になると思う、慎重な審理が進むと思う」と指摘しました。
(関西テレビ「newsランナー」2026年7月3日放送)
