7月1日から制度が変わった「障がい者雇用」についてです。こちらは、「障がい者雇用率」の推移です。そもそも「障がい者雇用率」の制度は、民間の企業が一定の割合以上の障がい者を雇用することを義務付けるものです。法律で定められた雇用率、「法定雇用率」が引き上げられるのに合わせて、実際の雇用率も上がり、去年は「2.41パーセント」と、14年連続で過去最高となりました。

こうした中、こちら…。1日から「法定雇用率」が、2.5パーセントから、「2.7パーセント」に引き上げられました。 合わせて、障がい者を雇用しなければならない民間企業の範囲も、従業員40人以上から「37.5人以上」に変わりました。

一方、企業と障がい者のマッチングの難しさや、雇用への意識の向上など、課題は多いのが実情です。誰もが働きやすい環境を作るために、取り組みを進める企業を取材しました。

仙台市若林区にあるNTT東日本。オフィスの一角にあるのは、障がいがある人たちが働くマッサージ店「Riang(リアン)」です。

「腰を中心に全身で行う形でよろしいですか?」
「お願いします」
「かしこまりました」

働いているのは、「あんまマッサージ指圧師」などの資格を持った、目の不自由な職員3人です。

このオフィスマッサージ事業は、NTTグループの「特例子会社」NTTクラルティが、首都圏など14の拠点で行っているもので、宮城では今年4月、東北で初めて導入されました。

この「特例子会社」とは、企業が障がい者雇用の促進などを目的に設立する子会社のことです。

「全ての従業員に占める障がい者の割合が20%以上」などの要件を満たすと、「特例子会社」で雇用した障がい者を、親会社やグループ全体の雇用人数として算定することができます。

「この辺とかだと、どうしても近づかないと、って感じではありますけど、これぐらいなら大丈夫ですね」

「Riang」で働く本川和馬さん(35歳)。

本川和馬さん(35)
「体ひとつでできるのは、マッサージは良いと思いました」

NTT東日本の社員
「疲れがとれて、本当に仕事に集中もできます」

今の職場にやりがいを感じる一方、就職活動を通して感じたのは、『障がい者雇用の地域差』でした。

本川和馬さん(35)
「当時は関東の方で探して、そちらではまだたくさんあったので、地方によってはまだ少ないと感じた」

実際に宮城県内の民間企業の障がい者雇用率は、去年、「2.38パーセント」と、全国の都道府県で42番目と低迷しています。

宮城労働局では「障がい者雇用についての意識の低さ」を原因のひとつとみていて、ノウハウの共有などが課題となっています。

NTTクラルティ 吉宗歩営業部長
「様々な業種で障がい者が活躍できるケースを多く外に出していくことが、障がいのある方の可能性を広げるひとつになるのではと思うので、『自分たちもできるのでは』と企業の皆さんが思ってもらうのが一番」

そして今回の「障がい者雇用率」の引き上げについて、難病を患う男性は、「仕事をすることで人生が豊かになる」と話し、期待を寄せています。

「こんにちは。仙台放送西ノ入です」
「OKIワークウェル勤めている田中です」

若林区に住む田中裕紀さん(26歳)。

全身の筋力が低下していく、国の指定難病「筋ジストロフィー」を患っています。

田中さんは4年前から、都内に本社がある、大手電機メーカーの「特例子会社」に勤めています。

体力的に通勤が難しいことから、在宅での勤務を前提に採用され、今はシステムの開発や管理などを任されています。

OKIワークウェル 田中裕紀さん(Q.仕事のやりがい)
「一番は作成したシステムを納品した際に、お客さまから『使いやすい』とほめていただけること、プログラミングの世界は年を重ねるごとに常に進化し続けていくので、挑戦し続けられるという点もやりがいを感じている」

田中さんが勤める「特例子会社」は、従業員100人のうち障がい者が9割を占めていて、そのうちの8割が、田中さんのように在宅で勤務しています。

OKIワークウェル 浅井千春社長
「人手不足や働き方の多様化が進む中で、障がいのある方が活躍できる職場づくりの重要性は、今後さらに高まっていく」

障がい者雇用の「法定雇用率」の引き上げについて、田中さんは…。

OKIワークウェル 田中裕紀さん
「正直な気持ちとしては、もう少し雇用率が上がってもいいのかなという思いがある半面、少しずつでも良いので、上がっていくことによって働くことをあきらめていた同じような人たちでも仕事ができるんだと実感できると思います」

田中さんの母
「障がいのある子供を育てている中で一番幼少期に不安だったのは、将来どうなってしまうんだろう、どうやって生きていくんだろうということ。障がいがある子にも、絶対に色々な必ず才能があると思っていて、雇用率が上がることで裕紀を見て『自分でも何かできることがあるかもしれない』と感じてもらって、ぜひ実践していってもらえたら」

障がいの有無にかかわらず、誰もが社会に出て生き生きと働ける未来へ…。

OKIワークウェル 田中裕紀さん
「どんな人でも社会貢献ができること、そして何より仕事をすることによって、その人自身の人生が豊かになっていく、広がるのではないか。自分のような道もあることを皆さんに伝えたいです」

宮城労働局によりますと、県内の従業員40人を抱える民間企業で法定雇用率を達成しているのは、制度が変わる前の先月時点で50.3%。全国平均よりも高いということですが、半数の企業に留まっているのが現状です。

宮城労働局ではこうした状況を受けて、おととしから原則、無料で専門の事業者から相談や支援を受けられる、「障害者雇用相談援助事業」を行っています。

詳細は宮城労働局のホームページで確認することができます。

仙台放送
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