『日本の棚田百選』に選ばれている新潟県三条市の『北五百川の棚田』では、野生動物による被害があとを絶たず400年以上の歴史に幕を下ろすことになった。棚田を管理する佐野誠五さんは「心が折れた」と声を落としている。
北五百川の棚田で田植え
絶景の棚田として知られる三条市下田地区の北五百川の棚田。
5月初旬、この棚田で市の新採用職員による田植え体験が行われていた。
三条市は市内の様々な産業を学ぶ研修を新採用職員に行っていて、田植え体験は美しい風景が広がる棚田で農業を体験してもらおうと10年前から実施されている。

新採用職員は「こうやっておいしいお米が食べられると思うとありがたいなと思った。一面にばーっと広がっている田んぼもきれいだが、段々になっているのもこういうところならではなのかなと」「棚田はすごく広くい。私は市外出身なので初めて見たが、晴れの景色を見てみたいなと思った」などの声が聞かれた。
野生動物被害で400年超の歴史に幕
1999年には農林水産省によって『日本の棚田百選』にも選ばれた『北五百川の棚田』。

400年以上の歴史があり、現在は15代目の佐野誠五さんが約90アールの棚田を管理している。
2011年の豪雨では一部が崩れる被害があったものの、復旧をとげて現在までコメ作りを続けてきたが、「本当は80歳までという目標があったが、本当の理由はサルとイノシシの被害。あの被害を見たら心が折れてもう無理だと」と嘆いた佐野さん。
近年は野生動物による被害が相次ぎ、2025年は600kg近くも収量が減少。予約が入っていた分のコメの確保も危ぶまれたという。
佐野さんは「今年とれなかったからごめんなさいというわけにはいかない。そうすると、もうこれでやめたほうがいいなと思って。動物にやられたあの姿を見ると、作っても張り合いがない」と声を落とす。
「最後にこの景色見て」
佐野さんは市や国に対策を求めることも考えたというが、棚田でのコメ作りを断念。来年以降は家族で食べる分だけのコメを作るという。

「家族と田植えをしたが、最後に下をながめて『ああ、きょうで終わりか』と本当に涙が出てきた」
三条市の『北五百川の棚田』は今年で見納め。
滝沢亮市長は「ここから見る景色・風景というのが、本当にゴールデンウィークの一つの私の中でも楽しみになっていたし、多くの観光客の方もここを訪れているので寂しい思いはある」と話した。

佐野さんは「この景色はなかなかそう簡単にはつくれないので、最後にこの景色を見ていただきたい」と話している。

