鹿児島市の認定こども園で、当時2歳の男の子の首をカッターナイフで切りつけたとして殺人未遂などの罪に問われている元保育士の初公判が、2025年6月18日、鹿児島地裁で開かれた。被告は「殺意はありませんでした」と起訴内容の一部を否認。傍聴席90席がほぼ満席となる中、殺意の有無をめぐる攻防が幕を開けた。
黒いリュックを抱え、駆け足で入廷
被告は南九州市知覧町西元の元保育士・笹山なつき被告(23)。黒いリュックサックを抱え、マスクを着けたまま報道陣を避けるように駆け足で裁判所へと入った。
起訴状などによると、笹山被告は2024年6月、勤務していた鹿児島市の認定こども園で、当時2歳の男の子の首をカッターナイフで切りつけ、全治1カ月のけがを負わせた。さらにその4日前には、当時1歳の女の子の鼻を木製の棚の角に打ち付け、全治7日のけがを負わせたとされている。

検察「首を切り裂いた」、弁護側「肩口を狙った」
法廷の最大の争点は、殺意があったかどうかだ。
冒頭陳述で検察側は、「笹山被告が自分になつかない男の子にいらだちを募らせて背後から近づき、エプロンのポケットからカッターナイフを取り出して首を切り裂いた」と説明した。男の子の首の傷は長さ8センチ、深さ5.8ミリに及んでおり、検察側は笹山被告が「自らの行為が人が死ぬ危険性が高い行為だと分かっていた」と指摘している。
一方、弁護側は全く異なる状況を訴えた。保育経験が浅く、園児になつかれずに孤立していた笹山被告が誰にも助けを求められない状態に追い詰められ、「痛い目をみれば園児が言うことを聞くのでは」と思い、肩口あたりを傷つけようとしたにすぎないと主張。犯行後に笹山被告自身が止血を行い、119番通報をしたこと、致死量の出血もなかったことを根拠に、「殺意はなかった」として殺人未遂罪は成立せず、傷害罪にとどまると訴えた。

判決は7月16日
法廷で笹山被告は、男の子を切りつけた行為そのものは認めたものの、「殺意はありませんでした」と述べ、起訴内容を一部否認した。
裁判は7月7日に結審し、7月16日に判決が言い渡される予定だ。保育の現場で起きたこの事件は、子を持つ保護者をはじめ地域社会に大きな衝撃を与えており、判決の行方に注目が集まっている。

