石川テレビの記者が、裁判を傍聴し、気になったものをピックアップする『裁判傍聴ファイル』
今回は、金沢地方裁判所で開かれた裁判に注目した。この裁判では、詐欺罪に問われた被告が否認しているため、オレオレ詐欺の被害に遭った高齢の女性が証言台に立った。証言台で女性は犯人への思いを「悲しみだけです」と訴えた。
オレオレ詐欺被告の裁判 被害女性が証言台に
起訴状などによると、被告の女は石川県と富山県で現金をだまし取った詐欺の罪に問われている。石川の事件では現金128万円をだまし取ったとされている。被告の女は「荷物の受け取りを依頼されただけで詐欺だとは思わなかった」と否認している。
被害に遭った女性は去年7月、固定電話にかかってきた若い男の声にだまされた。孫だと名乗る声に、女性は思わず孫の名前を言ってしまったという。
その男は「喫茶店で置き引きの被害にあった。この後、喫茶店から電話がかかってくるから出てほしい」と告げた。孫だと信じ切った女性は、続いてかかってきた電話に孫の生年月日と住所などを教えてしまったという。
「会社のお金が必要」 タクシーで現金を引き出しに
再び孫を名乗る男から電話がかかり、「会社のお金を支払う必要がある。家にお金はあるか」と迫った。女性が「8万円しかない」と答えると、コンビニのATMなどでおろすよう言われ、
足が悪いと伝えると、男はタクシーを配車した。女性はそのタクシーでお金をおろしに行ったが
その日は「孫の上司の弟がお金を用意したので解決した」という連絡があり、事なきを得たと言う。
しかし翌朝、「弟の都合が悪くなったので金が必要だ」という電話が再びかかり、再びタクシーが女性の家まで配車されたという。そして女性はATMで現金を引き出し、茶封筒へ…。女性は、家の前の道まで来た被告の女に現金128万円を渡してしまったと言う。
法廷で被害女性が証言 「黒づくめの女性が来た」
証人尋問で、杖をつきながら証言台に向かった被害女性。検察官から当時の状況を問われると、「上司の姪っ子がとりに来るから道路の前に出ていてくれと言われた」と答えた。
現金を渡した際の様子については次のように証言した。
「黒づくめの女性がやってきた。女性の名前を呼ぶと孫に電話をかけ出し、携帯を渡された。電話で『ばあちゃんだ』と言ったら何かを言っていたが覚えていない。その後、携帯を女性に返し、現金が入った茶封筒も渡すと、女性は無言で受け取り、来た道を戻らずそのまま去っていった」
さらに女性は「渡したらすぐ持って行ってしまった。電話で言われた姪御さんだと信じていた」と証言。犯人への思いを問われると、「大切な現金をなくした。悲しみだけです」と答えていた。
次回は富山の被害者が証言台に
裁判は次回、富山県での事件の被害者が証言台に立つ。今回の裁判で、証言台に立った高齢女性は杖をついて歩いていた。次の富山の事件でも被害者は高齢だという。コツコツとためたお金を奪われた上に、裁判所に出向き、当時の状況を思いだし、裁判所で証言しなければならない被害者。その負担は相当、重いのではないだろうかと記者は感じた。
(石川テレビ)
