握って、押して、伸ばして——柔らかくモチモチした感触が「癒やし」になると、小学生の間でいま、「スクイーズ」が爆発的な人気を集めている。「なくなったら生きていけない」と語る子どもまで現れるほど夢中にさせている。アナログ感覚のおもちゃがデジタル全盛の世代に刺さる理由を、ストレス研究の専門家が科学的に読み解く。

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机の上に約70個 「(スクイーズがないと)めちゃ悲しい」

富山市内に住む小学2年生・明里さんの家を訪ねると、同じく小2の縁さんが遊びに来ていた。2人が夢中になっているのは、ウレタンやシリコンなどの柔らかい素材でできた「スクイーズ」だ。

机の上に並べてみると、あっという間にいっぱいになった。その数、約70個。

「とろとろの一個上くらい」(明里さん)、「すごく気持ちいい」(縁さん) ―2人は目を輝かせながらずっと触っていた。

スクイーズは握ったり押したりすると、ゆっくりと元の形に戻るのが特徴で、その独特の感触と見た目がSNSでも話題を呼んでいる。「スクイーズがなくなったら?」と問いかけると、縁さんは「めちゃ悲しい」、明里さんは「無理無理。生きていけない」と即答した。

専門家が挙げる"人気の理由"は4つ

なぜこれほどまでに人を惹きつけるのか。今年上半期のベストセラー『科学的に証明された すごい習慣大百科』の著者で、明治大学法学部の堀田秀吾教授に話を聞いた。堀田教授はストレスや行動習慣について科学的な視点から研究・発信を続ける専門家だ。

「ストレスをためやすい現代の環境において、いわゆる癒し系のおもちゃは非常にマッチしている。心が落ち着く道具として流行っているのが理解できる」と堀田教授は語る。

その人気の理由として教授が挙げたのは、以下の4つの要素だ。

1.安心感 「モチモチしてゆっくり反発する感触は、人間の肌の感触に近い」。幼いころから触れてきた母親などを無意識に連想し、落ち着きを感じるという。

2.癒やし スクイーズがじわじわと元の形に戻る"ゆっくりな動き"そのものが、心を落ち着かせる要因になっている。「ゆっくりな動きは人間を落ち着かせる」と堀田教授は説明する。

3.刺激 「デジタル優勢の世代、反動として直接触れるもの、新しい刺激に感じてのめり込んでいる」。画面越しではなく手で直接触れるアナログ体験が、いまや逆に新鮮に映るというわけだ。

4.ストレスの解消 縁さんは「嫌なこと、心配なことが安心に変わる」と話す。明里さんも「お泊まりで両親がいない時とかに、不安な気持ちがなくなる」と明かした。それを聞いた明里さんの母親は「それは初めて聞いた。心を落ち着かせてくれるのはいい」と目を丸くしていた。

富山市内の店舗でも飛ぶように売れる 価格は300円から

富山市内でスクイーズを数多く取りそろえる店舗でも、商品は飛ぶように売れている。小学4年生の子どもは「歯医者のご褒美に買ってもらう。ほとんどの人が持っている」と話し、子どもたちの間での広がりを実感させた。

価格は300円から2600円までと幅広い。店舗の人気ランキングを見ると、3位は肉球などのミニサイズで、キーホルダーとして持ち歩ける手軽さが支持されている。2位はパンなどをモチーフにした低反発素材のスクイーズ。そして1位は、スイーツをモチーフにしたシリコン系で、水のようになめらかな触り心地のものもある。

明里さんの家では、弟の陸斗くん(小1)も一緒に料理や風呂掃除などのお手伝いを頑張り、スクイーズを買ってもらえるよう姉弟で励んでいる。

ブームはいつまで続く? 触るベストタイミングも

堀田教授によると、スクイーズを触るのに効果的なタイミングは「脳が最も疲れてくる夕方以降」と「集中力を高めたい前」だという。子どもに限らず、大人にもはまっている人が多いとされるのも納得できる。

一方で、ブームの行方については「人は常に新しい刺激を求めるため、数か月から1年ほどで落ち着いていくのではないか」との見方も示した。

握るだけというシンプルな構造ながら、デジタル全盛の時代だからこそ際立つ"手触りの価値"。子どもたちの日常にしっかりと根を張ったこのブームが、どこまで続くか注目される。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
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