地方で浮き彫りになる医療体制の課題
医療体制への懸念も目立った。
実施予定がない理由としては、「医学的理由による卵子凍結を優先すべき」(2件)、「県内に実施医療機関がない、または医療提供体制が未整備」(2件)との回答があった。
「社会的卵子凍結」は、排卵誘発や採卵、凍結保存など高度な生殖補助医療を伴う。

自治体からは、「実施できる医療機関が限られている」、「専門医や胚培養士が不足している」、「県内で凍結・保存から体外受精までを完結できる体制が整っていない」といった課題も挙げられた。
都市部では生殖医療機関が集積している一方、地方では受け皿そのものが少ない地域もある。制度を作っても利用できる医療機関が近くになければ、実際には活用しづらい実態もある。
取材した北関東在住の女性(30代後半)や、九州地方在住の女性(30代後半)は、「地元には社会的卵子凍結に対応する医療機関がなかった」として、東京都内のクリニックに通院するなど、高額な採卵費用や保管費用に加え、交通費や宿泊費の負担にも苦慮していた。

さらに、「『社会的卵子凍結』という選択肢自体が地元では浸透していないので、職場や友人にも話しづらい」と打ち明ける。
支援制度だけでなく、医療アクセスや社会的な理解にも地域差が存在している実態が浮き彫りになった。
効果や倫理面への慎重な見方も
このほか、「社会的卵子凍結の効果やニーズ、倫理的な側面等を含めた十分な検証がなされておらず、母体等への健康面のリスクも否定できない中、公費で助成することの妥当性を判断することが難しい」(2件)との意見や、「実施主体である都道府県には、長期にわたるデータ連携等、継続的な関与が求められており、実施体制の構築には十分な検討が必要」(2件)として、長期管理や事業運営への懸念を示した自治体もあった。

さらに、「モデル事業の状況を見て判断したい」「学会見解を踏まえて慎重に判断したい」など慎重なスタンスが目立った。
