健康な女性が、仕事の都合などで将来の妊娠や出産に備えて卵子を凍結保存する「社会的卵子凍結」の助成制度をめぐって、地域格差が課題となっている。
政府は今年度からはじめる新たなモデル事業(「卵子凍結による妊孕性(にんようせい=こどもを授かるための能力)温存等にかかる課題検証のためのモデル事業」)で、卵子凍結を行う未婚の女性には1人・1回あたり20万円を支援する。国は、その費用を都道府県に支給する。

最も、この事業はがんや不妊治療として行うのでは無い、健康な女性による卵子凍結についての実態データを収集し、今後の制度設計を検討するための「課題検証」が目的だ。支援を受けるにはまず都道府県がこのモデル事業に参加する必要がある。
社会的卵子凍結をめぐっては、東京都と山梨県はすでに独自の助成制度を実施。市区町村でも、東京・港区や千代田区、千葉・柏市、兵庫・姫路市なども独自の支援を行っている。
地域による格差の解消も期待されるこのモデル事業について、自治体はどう受け止めているのか。
「実施予定」はわずか5県
フジテレビ調査報道『スポットライト』では、全国47都道府県を対象にアンケートを実施し、参加意向や課題について尋ねた。
47都道府県のうち、アンケートに回答したのは44の自治体。このうち、今年度中に国の卵子凍結をめぐるモデル事業を実施する予定と回答したのは山形県、神奈川県、滋賀県、岡山県、福岡県の5県にとどまった。

「実施予定」と回答した県の関係者は、取材に対し「秋頃から開始できるようにしたい」と語った。
一方、「検討中」と回答した自治体は17府県。「実施予定はない」と回答した自治体は22道県にのぼり、多くの自治体が慎重な姿勢を示した。
なぜ導入を見送る自治体が多いのか。
アンケートからは、社会的卵子凍結をめぐる複数の課題が浮かび上がった。
最も多かったのは「ニーズが把握できていない」(10件)
実施予定がない理由として最も多かったのは、「希望者数・ニーズを把握できていない」で10件にのぼった(「実施予定なし」の22道府県が回答。複数回答可)。

他の回答を大きく上回り、多くの自治体がまず需要の把握そのものを課題としていることが分かった。
「県内にどの程度の需要があるか分からない」、「まずは実態を見極めたい」といった声も寄せられた。
ある自治体は、「ニーズがどの程度あるのか分からない中で、新たな事業を立ち上げることは難しい」と回答するなど、行政現場の戸惑いがうかがえる。
「まずは正しい知識の普及を」(3件)
次に多かった理由は、「正しい知識の普及・理解促進を優先すべき」で3件だった。
ほかにも、「子どもをもつことは自由に選択できることを踏まえたライフデザイン形成支援の一環であるプレコンセプションケア(将来設計を考えた健康管理の取り組み)の普及が優先」、「妊娠や出産に関する正しい知識の普及を進めたい」といった声が寄せられた。
