東京・足立区に外国人労働者の支援拠点となるベトナム仏教寺院「東京大恩寺」が新たに開創された。生活や在留資格の相談に応じるほか、文化交流の場としての役割も期待され、多文化共生の拠点として注目されている。

多文化共生への道が足立区に

外国人労働者の駆け込み寺・東京大恩寺は、足立区の綾瀬駅からバスで5分ほどのところにある。

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5月31日に開創したばかりで、本堂のある2階に上がると木の香りに包まれた。

ピカピカの伽藍堂の中央に座す仏像は、日本ではあまり見られない形で、ベトナムで主流の仏像が安置されている。

足立区では、この大恩寺が、区とベトナムをつなぐ架け橋となり、多文化共生の拠点になると期待されている。

大恩寺の住職は、ベトナム人のティック・タム・チーさんだ。

好きな食べ物は「きんぴらごぼう、ひじきとおしんことあんこです」「あと温泉も大好き」と気さくな笑顔で日本語を流暢に話すタム・チーさんは、とにかく日本が大好きだという。

“日本が好き”ベトナム人たちの希望へ

タム・チーさんは7歳で仏門に入り、2001年に留学のため来日した。

大学で仏教を学び、2018年に埼玉にある大恩寺の住職となった。

2011年の東日本大震災を機に、在住ベトナム人の支援を始めた。

2020年以降はコロナウイルスの影響で、仕事を失うベトナム人が増加した。

タム・チーさんは、職を失ったベトナム人たちを、寺に宿泊させたり、食事を提供するなどの支援を行ってきた。

当時は「コロナで仕事ができない」「給料が安い」「会社の人にいじめられる」などといった悩みや相談が多かったという。

タム・チーさん:
これまで受け入れた人数は2000人以上にのぼります。当時は賃金や現場の環境などの悩みが多く聞かれました。

私はそうしたベトナム人に日本を嫌いになってほしくないという気持ちからできる限り支援を行いました。

最近は特定技能制度などが整備され、待遇面での悩みや相談を受けるケースはほとんどなくなり、最近多い相談は、お葬式やビザの申請や特定技能への在留資格更新・変更方法などです。 

タム・チーさんは日本が好きだからベトナム人に日本を憎んでほしくないという。

足立区に新たに開創された大恩寺では、毎月在住ベトナム人の若者をはじめ地域住民にも開かれた修養会や習字教室を開催するほか、フォーやデザート、ベトナム精進料理教室など、食の文化交流や勉強会なども実施していく予定だ。

大塚隆広
大塚隆広

フジテレビ報道局社会部
1995年フジテレビ入社。カメラマン、社会部記者として都庁を2年、国土交通省を計8年間担当。ベルリン支局長、国際取材部デスクなどを歴任。
ドキュメントシリーズ『環境クライシス』を企画・プロデュースも継続。第1弾の2017年「環境クライシス〜沈みゆく大陸の環境難民〜」は同年のCOP23(ドイツ・ボン)で上映。2022年には「第64次 南極地域観測隊」に同行し南極大陸に132日間滞在し取材を行う。