ちなみに「冷凍したら菌は死滅しますか?」と聞かれることもありますが、家庭用の冷凍庫の温度帯では菌は死滅しません。解凍してちょうどいい温度帯になれば、また増殖してしまいます。冷凍はあくまで「増殖を止めている」だけ、ということは覚えておきましょう。

翌日は「軽くチン」では不十分

そうやってウエルシュ菌を増やさないことが何よりの食中毒対策ですが、翌日になると、ある程度菌は増殖しています。翌日のカレーを食べる際は、混ぜながら再加熱をすれば、増えた菌をまた死滅させ、食中毒のリスクを下げることができます。翌日のウエルシュ菌はそれほど熱に強くないのです。

ポイントは、「グツグツ煮るようにしっかり加熱する」こと。カレー等を提供する飲食店でも、提供前のしっかりとした再加熱を食中毒対策として行っています。

(イメージ)
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なお電子レンジで軽く温めたくらいでは、十分な効果は期待できません。電子レンジでグツグツするほど加熱すれば庫内にカレーが飛び散ってしまうでしょうから、やはり鍋で再加熱するのがおすすめです。

このようなウエルシュ菌の増殖が起きやすいのは煮込み料理全般で、カレーでもシチューでも肉じゃがでも同様です。ただし、とろみのある煮込み料理のほうが、酸素が入り込みにくいぶん増殖しやすい傾向があります。

なお私は、学生時代のカレー屋のアルバイト中に調理師免許も取得しており、「一晩寝かせたカレーは美味しい」という話は体感として理解できます(笑)。

しかし、気温の高い夏場は、常温放置は避けるべきです。「作ったら素早く冷ます、温めるなら鍋でしっかり」を徹底することが、家族の体調を守る一番の近道です。

小関 成樹(こせきしげのぶ)
北海道大学大学院農学研究院 食品加工工学研究室 教授。博士(農学)。

構成=古澤誠一郎

小関成樹
小関成樹

北海道大学大学院農学研究院 食品加工工学研究室 教授。博士(農学)。
北海道大学農学部卒、同大学院で博士(農学)取得。食品総合研究所や農研機構で研究員・主任研究員を歴任し、タスマニア大学客員研究員も経験。2013年より北海道大学准教授、2020年より同教授。食品微生物分野で国内外の委員・学会役員を務める。