10℃キープで5時間菌は増えない

温度管理でもうひとつ大事なのが、「冷えた状態のまま持ち歩くこと」です。

理想的なのは、保冷剤と保冷バッグを併用して低温をキープし、職場に着いたらすぐ冷蔵庫に入れることです。職場に冷蔵庫がなければ、最近は小型のクーラーボックスもありますので、そういったもので温度を低く保つのもいいでしょう。10℃くらいをキープできれば、5〜6時間ほど経っても菌の増殖はほとんどありません。

逆に、30℃を超える夏場の屋外で保冷もせず、何時間も持ち歩いたお弁当を食べるのは、食中毒のリスクが上がります。仮に保冷剤やクーラーボックスを使うのが難しい場合も、「できる限り涼しい場所に置いておくこと」は意識しましょう。

(イメージ)
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それは室内でも同様です。省エネのために室温が27度や28度に設定されている場合は、お弁当に潜んでいた菌も増殖しやすくなっているためです。

なお、職場や外出先に電子レンジがなく、温め直して食べられない場合は、保冷した運搬・保管をためらう方も多いでしょう。冷やしたまま持ち歩いて再加熱もできないと、やはりおにぎりなどは硬くなって食感を損ねてしまうからです。

残念ながら、万全の食中毒対策と「おいしく食べられるかどうか」は、また別の話なのです。そのため「冷やしてもおいしい食材・料理を選ぶ」というのも、夏のお弁当作りのひとつの工夫かもしれません。

小関 成樹(こせきしげのぶ)
北海道大学大学院農学研究院 食品加工工学研究室 教授。博士(農学)。

構成=古澤誠一郎

小関成樹
小関成樹

北海道大学大学院農学研究院 食品加工工学研究室 教授。博士(農学)。
北海道大学農学部卒、同大学院で博士(農学)取得。食品総合研究所や農研機構で研究員・主任研究員を歴任し、タスマニア大学客員研究員も経験。2013年より北海道大学准教授、2020年より同教授。食品微生物分野で国内外の委員・学会役員を務める。