加熱の目安として、厚生労働省は大量調理施設向けに「中心温度75℃で1分以上」という指針を出しています。
ただ、これを家庭料理で厳密に守ると、肉はパサパサになって美味しくなくなってしまいます。食中毒の原因となる菌はそれほど耐熱性が高くないので、家庭のお弁当であれば普段通りの加熱調理をするだけで、食中毒リスクをしっかり下げられるはずです。
なお肉については、菌は基本的に表面にしか付着していません。「肉の中までしっかり火を通して」とよく言われますが、筋肉組織の中まで菌が入り込むのは、肉が腐りかけのような異常な状態のときだけです。「夏場のお弁当だから」と、中心部の加熱に神経質になる必要はありません。
ただしひき肉は別です。ミンチにする過程で表面の菌が内部に練り込まれてしまうので、中までしっかり加熱したほうが安心です。
また「汁気の多いものは腐りやすい」とも言われています。たしかに「高温でしっかり揚げた唐揚げ」と「汁気の多い野菜炒め」を比較すれば、野菜炒めのほうが腐敗の進行は早くなるでしょう。しかし、きちんと火が通った状態であれば、両者に食中毒リスクの大きな差はないといえるでしょう。
つまり、たとえ夏場だとしても、普段通り火を通してあれば、家庭のお弁当の安全はしっかり保つことができると言えます。
「新鮮な食材なら安全」は誤解
多くの人が誤解しているのが、「新鮮な食材なら安全」という考え方です。
例えば新鮮なお肉でも、屠畜の過程の内臓を切ったタイミングなどで菌が付着してしまうケースはあります。新鮮さと食中毒のリスクは、必ずしも結びつくものではないのです。
そして、もうひとつ知っておいていただきたいのが、食中毒の原因菌と、食材を腐敗させる菌はまったくの別物だということです。腐敗菌は食材をネチョネチョさせたり臭いを発したりしますが、それ自体が直接的な健康被害を与えない場合もあります。納豆はその一例ですね。
