だしがしっかりと染みこんだ分厚い大根や、アツアツのこんにゃくや厚揚げ。
立ち上る湯気とだしの香りが漂う自慢のおでんが“お通し”というこの店。

呼炉凪来エリアマネージャー・仲雄生さん:
550円でお通しがおでんですね。こちらが“食べ放題”となっています。

お通しのおでんが食べ放題なんです。

連日、お通し目当てのお客さんたちでいっぱいに。

お客さんからは「おでんを目当てに、お通し食べ放題を目当てに」「お通しって聞いてびっくりしたんですけど」「おでんが食べたくてきました」といった声が聞かれました。

ところが今、このお通しに不要論が浮上していました。

街の人からは「(お通し)私はあまりいらない」「私はお金取られるなら、自分で選びたいからいらないかな」「いらないと思ってます。苦手なものが出てきたとき、これにお金払うのかって思います」といった声が聞かれました。

物価高騰が続く中、頼んでもいないお通しは“無駄な出費”といった声が。

そんな中、神奈川・藤沢市にあるフライドチキンやクラフトビールが人気の店では5月、ある決断を…。
お通し廃止で来客数アップを狙うといいます。

ビアメゾン・工藤貴裕シェフ:
(Q.お通しをやめた理由)最初は300円で始めて、途中で物価上昇とともに380円に上げた。1杯サクッと飲んで帰りたいお客さまを逃してしまうっていうのがあったので、どちらかというと(お通しが)ない方がプラス。

お通し廃止の決断にお客さんからは「(お通し)正直いらない。それでおなかいっぱいになったらもったいないし」といった声が聞かれました。

しかし、店ではこれまでお通しが重要な収入源だっただけに、廃止は「難しい判断だった」といいます。

ビアメゾン・工藤貴裕シェフ:
多い時で(月)20万円以上にお通しで(収入に)なっていた。

このお通し、フードジャーナリストの山路力也さんによると、来客への“おもてなし”として広がった“日本独自の文化”だといいます。

フードジャーナリスト・山路力也さん:
そもそもお通しは最初に出すもので、お店のその日の料理や食材とか、要は“予告編的な文化”というのが最初にあった。

山路さん自身も色とりどりの小鉢10皿や、作りたてのだし巻き卵など、印象深いお通しとの出会いが。

ところが、現状については「インバウンドとの間でも(お通しが)結構問題になっている。オーダーもしていないのに、500円なりいくらか取られるのは理不尽だと考える人たちがいる」と話します。

日本独自のおもてなし文化として広がったお通しの不要論に上がる「若い人はもったいないって印象もあるのかもしれない」「お酒だけ飲んで帰ることも多いので、お通し自体がなくなるのは自分は賛成」「料理が出てくるまでに時間がかかるなら、ちょっと何かあったほうがいい」といった賛否の声。

そうした中、おでん食べ放題のお通しが名物となっている「呼炉凪来」のエリアマネージャー・仲雄生さんは「それこそうちの看板メニューでもあるので、“期待を超えるお通し”でお店を知っていただくチャンスだと捉えてる」と話しました。

専門家は、今がまさにお通しの分岐点だと話します。

フードジャーナリスト・山路力也さん:
今、外食全般が値上げのトレンドになっているので負担感は増す。お店の個性のあるおいしいお通しを出して、お客さんもそれを喜ぶというのが理想のお通しの姿かなと思う。