脈々と受け継がれてきた「強豪の誇り」。
インターハイ21回、春の高校バレー全国大会23回の出場を誇る松江工業高校バレーボール部が、5月28日に開幕する島根県高校総体に向けて闘志を燃やしている。
直近3つの県大会すべてで準優勝に終わったチームは、悔しさをエネルギーに変え、頂点奪還へと突き進もうとしている。
島根県有数のバレーボール伝統校・松江工業は、高校選手権がまだ9人制だった1961年、全国準優勝を経験した。
それから60年以上が経つ今もなお、島根県の高校バレー界をリードし続けてきた。
インターハイ21回、春高全国23回という出場実績は、長年にわたって積み上げられた確かな実力の証明だ。
しかし近年、その名門は苦境が続いている。
2025年の島根県総体では3位、春高県大会では準優勝に終わり、全国への切符を手にすることができなかった。
さらに新チーム発足後も、新人戦(1月)、中国予選(4月)とすべて準優勝に留まっている。
チームを率いるのは、自身も松江工業OBである佐藤城(きずな)監督(29)だ。
母校の指揮を執る若き指導者は、現状をこう受け止める。
「去年から続けてなかなか優勝ができていない中で、自分たちにできることは何なのかを一番に思って」
佐藤監督が取り組んできたのは、チーム全体のディフェンス力強化だ。
「根源は“エースバレー”なんですけど、それをどれだけみんなで支えて、バレーができるかをもっともっと詰めたいなと思っています」
エース一人の爆発力に頼るのではなく、チーム全員で支え合う組織的なバレーを追求する。
それが、佐藤監督が描く「王座奪還」への道筋だ。
チームの勝敗を左右する大エースが、3年生の伊藤哉汰(かなた)選手だ。
身長181センチ、最高到達点325センチというスペックを誇り、佐藤監督も「県外のチームと練習試合をしても後れを取らないくらい、高さのある、パワーのあるスパイクを打てる選手」と全幅の信頼を寄せる。
伊藤選手自身は、ある強い意識を持って日々の練習に臨んでいる。
「日々の練習から安来をイメージして練習しているので」
直近3大会の準優勝は、いずれも安来高校との対戦で敗れた結果だ。
春高島根大会(2025年10月・セットカウント1-3)
新人戦(1月・0-)
中国予選(4月・0-2)
宿敵・安来に3連敗という現実が、伊藤の胸に刻まれている。
「とても悔しいです。自分が全部決めて、チームを優勝に導けるように頑張りたいです」
その言葉には、エースとしての覚悟と責任感が滲んでいた。
島根県高校バレーボール界の名門・松江工業が、長い雌伏の時を経ていよいよ動き出す。
島根県高校総体バレーボール競技は、5月29日(金)に開幕する。
「強豪の誇り」を胸に、王座奪還を誓う松江工業の戦いから目が離せない。