緑に光るこちらのボタン。1人暮らしの高齢者が毎日押すことで、周りに無事を知らせることができます。開発したのは、佐賀大学の医師。孤立死を防ぐ新たな一手になるか、注目されています。

鮮やかに光る大きなボタン。
1人暮らしの高齢者が、外とつながる新たな仕組みです。
佐賀市高木瀬町の城北団地。
約490人の住民は、ほとんどが80代の一人暮らし。
このような環境で課題となっているのが、高齢者の孤立死です。

【浦田弘自治会長】
「私が(自治会長に)なってからとにかく孤立死が一番心配だったので。一人暮らしがものすごい多いんですよ。特にこの団地は高齢化しているので」

一人暮らしの高齢者は全国的に急増していて、現在は670万人を超えています。
佐賀市だけでも約1万人と、2020年までの10年間で3000人以上増加しました。
警察庁によりますと去年、死亡してから4日以上経過して発見された高齢者は、全国で2万4000人以上。
県内でも約300人にのぼります。

【浦田弘自治会長】
「私が自治会長になってから2・3年後くらいに年間に4人も5人も亡くなっていたので」

この問題を解決しようと佐賀大学の医師たちが研究に取り組んでいます。
中でも、学生のころから10年ほどこの研究に携わっているのが佐賀大学で勤務する古川祐太朗さん34歳です。

【佐賀大学医学部附属病院 古川祐太朗さん】
「孤立死とか孤立で悩む健康被害が大きなテーマで、扱っている問題は結構重い問題。住民の連携のシステムを長く続かせるために何かいいことができないかなと思い続けた結果」

約10年前、古川さんは、飲食店でスタッフを呼ぶ際に使われるボタンを見守りサービスとして使うことを発案しました。

【佐賀大学医学部附属病院 古川祐太朗さん】
「何か高齢者の手元に置けて、かつ分かりやすく押し間違いしないように求めていた結果、このピンポンってファミレスにあるなという話になりまして」

朝起きたときにこのボタンを押すことで自治会長に通知がいく仕組みです。
それから10年間、住民は毎朝ボタンを押しカレンダーに印を付け続けルーティンとして定着しました。

【住民】
「カーテンを開けるときにそれ(ボタン)を押すと決めている」
【佐賀大学医学部附属病院 古川祐太朗さん】
「押さないといけない責任感とかでちょっと大変と言っている方もいらっしゃるんですけど皆さん95%くらい押せているので日課としてきついなと思いながらも日課にはちゃんとなっているということでこのボタンのいいところかなと思っている」

また、ボタンを押すことが日課として定着したことで実際に孤立死を防ぐことにも繋がったといいます。

【佐賀大学医学部附属病院 古川祐太朗さん】
「(研究を始めてから)初めてボタンを持っている方がお亡くなりになった。その人は多分地域の中でみんなでボタンのやり取りして安否確認とかずっとやっていたからこそ早く(翌日)見つけることができたのではないかと」

一方で、部屋によってはボタンを押しても無線が届かない問題がありました。
そこで今回、福井県の企業の協力で開発されたのが・・・。
その名も、「いろどり+ボタン」です。
今回開発されたボタンは、LTE通信のためどの部屋でも対応。
また、これまでは、自治会長の部屋にある親機にしか通知されませんでしたが、今回は、家族や民生委員への通知もいくようになりより安心できる見守りサービスにバージョンアップしました。

【住民】
「(今までは家族に)必ずワン切り。1日2回せんといかん。まっすぐいく(通知される)と聞いてうれしくてうれしくて」
【住民】
「子供にもこうやって連絡がいくからいいかなと思って。感謝しています」

4月5日から半年間の実証実験がスタートし住民一人一人の部屋に新しいボタンが設置されました。

【住民】
「これがあるとまた会話も増えますね。元気でいられることに感謝します」
【浦田弘自治会長】
「医大の先生たちが確認とれるということが一番のメリットかなと思っている。彼(古川さん)がずっといてくれたからこれが続いた」

「いろどり+ボタン」の実証実験は半年間、30世帯の高齢者を対象に行われ早ければ来年度中に本格導入されます。
また、古川さんは一般向けの普及活動も進めていく予定だということです。

【佐賀大学医学部附属病院 古川祐太朗さん】
「生きがいになったり自分の生活のリズムになったりするというのはすごく公衆衛生てきにも大事なことだと思うのでこういう自然な形で生み出すことができたというのは一つの成果かなと思っている。今後はもっとこういうシステムが公営住宅含めて日本の各地で社会的にも孤立されている方々に届けばいいなと思っています」

サガテレビ
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