「増やす」選択肢としての非合理性
貯蓄型保険の純保険料には、もしものときの保障と、解約時に支払われる解約返戻金が含まれていますが、保障に回る部分と解約返戻金に回る部分の割合はわかりにくくなっています。
具体的にシミュレーションしてみましょう。
30歳男性が「貯蓄型保険(ドル建て終身保険)で保障と貯蓄(投資)を用意」と「掛け捨て型の定期保険と投資信託で保障と貯蓄(投資)を用意」で保険料・保障・利率を比較します。
※以下、2026年5月15日時点の情報に基づく
●ドル建て終身保険
30歳男性の保険料(月額):227.8ドル(3万6500円)
保険期間:終身 保険料払込期間:15年払込満了
死亡保険金:10万ドル(1600万円)
積立利率3〜3.5% ※1ドル=160円
●掛け捨て型定期保険
30歳男性の保険料(月額):1600円
保険期間・保険料払込期間:10年
死亡保険金:1600万円
●投資信託「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」
毎月3万4900円(信託報酬 年0.05775%)
トータルリターン(5年):年率19.97%
貯蓄型保険(ドル建て終身保険)では、毎月約3万6500円の保険料(ドル建てなので円換算すると毎月変動します)を支払うことで、死亡時には保険金が10万ドル(現時点の為替レートだと約1600万円)を受け取れます。予定利率(保険の運用利率)は3〜3.5%となっています。
掛け捨て型定期保険ならば月1600円で貯蓄型保険と同等の死亡保険金額を用意できます。残り3万4900円を投資信託(本稿執筆時点で最も純資産額が大きく、投資家人気の高い「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」)に投資したとき、保有中の手数料(信託報酬)はわずか年0.05775%にもかかわらず、トータルリターン(5年)は年20%程度。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が連動する「MSCI ACWI」という指数の直近20年間の円ベースのリターンは年8%程度なので、増やす目線では投資信託のほうが運用利率も手数料も断然上回っています。
したがって、貯蓄型保険を利用して「保障+貯蓄(投資)」するよりも、「保険は保険」「貯蓄(投資)は貯蓄(投資)」と分けて、それぞれに適した商品で準備したほうが、経済的かつ合理的です。
