石川県のパーソナルジムで活動するボディービルダー3人が、「北陸筋肉部」を結成した。筋肉を活かして地域を盛り上げようというユニークな取り組みで、小学校のライン引きからタケノコ掘りまで、依頼があれば駆けつける。「筋肉で人生8割解決する」を体現する彼らの活動が、じわじわと注目を集めている。

「筋肉で人生8割解決する」団体が誕生


亀の甲羅のような背中の筋肉、バキバキの腹筋―。金沢市のパーソナルジムでトレーナーを務める3人が結成したのが「北陸筋肉部」だ。富山県出身者も含めたこの3人組が掲げるコンセプトはシンプルかつ大胆である。
リーダーの井上文太さんはこう語る。「北陸筋肉部は、筋肉で北陸を元気にしようというコンセプトのもと、企業からの依頼を受けたり、ステージイベントを行ったりする。筋肉で人生8割解決するっていうのを体現する団体。」

メンバー3人はいずれも現役のボディービルダーだ。リーダーの井上さんはアームレスリングの大会で優勝経験を持つ剛腕の持ち主。亀の甲羅のような背中の筋肉がトレードマークの櫻井さん。そして富山県滑川市出身でグループのムードメーカーを担う高瀬広志さんは、その笑顔と腹筋で場の空気を和ませる存在だ。
消防士からトレーナーへ―高瀬さんの転身

メンバーの1人、高瀬さんはトレーナーになる前の職業は消防士だった。本格的に身体を鍛えてボディービル大会に出場するようになり、昨年の全国大会では3位という実績を残している。

「人を笑顔にするのが好きだった。だから消防士にもなりましたし、ジムも一緒で、お客さんが筋肉ついたり、今までできなかった動きができると、皆さん笑顔になって帰られるので、トレーナーは素晴らしい仕事だと思う」
人を助けたいという根底にある思いが、消防士からトレーナーへという異色の転身を支えていた。インタビュー中、緊張で筋肉がピクピクと動いてしまうのはご愛嬌で、「無意識にすみません、緊張したらピクピクなっちゃうので…」と笑いを誘う場面もあった。
最初の依頼は「通学路のライン引き」

先月始動したばかりの北陸筋肉部に、記念すべき最初の依頼が届いた。小学校の通学路のライン引きである。地味に思えるかもしれないが、現場の反応は上々だった。
「僕たちはライン引いているだけなんですけど、筋肉がけっこう目立つのか、みんな楽しそうに参加していただいたので、めちゃくちゃ良かったと思います」と高瀬さんは振り返る。筋肉があるだけで、日常の作業がエンタメに変わる―それが北陸筋肉部の強みだ。
タケノコ掘りに「お助けマッチョ」登場

続く依頼は、金沢市立四十万小学校の3年生・約70人とのタケノコ掘りだった。ふるさと学習として毎年行われているこの行事に、今年は北陸筋肉部が助っ人として参加した。

タケノコ掘りの経験はゼロ。しかし3人に不安はない。「そこは力で凌駕していく。筋肉があれば何とかなると思っている3人なので」と高瀬さんは断言する。
当日、児童たちは北陸筋肉部が来ることを知らされていなかった。井上さんの「筋肉でタケノコをしっかり掘っていきたいので、一緒にがんばりましょう」という挨拶に続き、高瀬さんが放った「今日はみんなで楽しくタケノコ堀りがんばっていきましょう、あっ間違えました、いきマッチョ!」の掛け声には、会場から無反応が返ってきた。
不安な滑り出しとなったが、やはり空気を変えたのは筋肉だった。タケノコがなかなか抜けず四苦八苦する児童たちが筋肉に触れると「わ~かたい!」と目を輝かせ、素手でタケノコを折る姿を見た子どもが「バケモノおる!」と叫ぶ一幕も。高瀬さんは「それは誉め言葉ととらえましょう」と余裕の表情だ。

やがて「お助けマッチョ来て~!ここで困ってるマッチョおるから~!」と子どもたちが自ら呼びかけるほどに打ち解けた。「自分でやったら1時間かかるのに、マッチョさんがやったら1分くらいで取れてすごかった!」「お父さんと全然違う」という声も上がり、筋肉の実用性は小学生にも十分伝わったようだ。


富山からの依頼も「すぐ飛んでいく」
現時点での活動は石川県内にとどまるが、北陸筋肉部という名が示す通り、富山県からの依頼も歓迎している。
「たくさんの人に筋肉の素晴らしさと、エンタメって観点でも面白いし、意外と実用性もあると思うので、富山県を盛り上げるために、依頼があればすぐ飛んでいく」と井上さん。
そして高瀬さんは最後にこう締めくくった。「富山からのご依頼、お待ちしてマッスル!」

笑いあり、力仕事あり、そして地域への本気の思いあり。北陸筋肉部の活動は、まだ始まったばかりだ。
(富山テレビ放送)
