福井市の繁華街・通称「片町」。夜の店が並ぶその一角で、昼間に子供たちの歓声が上がっていた。「マジックバー 手品家」がゴールデンウィーク期間限定で開いた、親子向けのマジックショーだ。普段は夜に営業しているこの店は、北陸新幹線開業から2年を経て、ファミリー層を狙った業態転換を目指している。
週末は県外客で埋まることも
客の目の前でマジックを披露しながら酒などを提供する体験型のバー「手品家」。
北陸新幹線が2年前に福井に延伸し「せっかくだし行ってみようかと来てくれる県外客が増えた」という。初めて福井を訪れ、片町の路地を歩いているうちに偶然この店を見つけて入ってくるケースも増えたという。
開業から2年が経ったいまも、その流れは途絶えておらず「週末に満席になるときは、全員県外からの客で埋まることもよくある」と店長は語る。
新幹線効果は駅前だけにとどまらず、夜の繁華街にまで及んでいる。しかし、それだけでは足りないと、店は次の手を打ち始めた。
「昼にも人の流れを」 親子向けイベントを企画
開業効果をさらに高めるために着目したのが、昼間の集客だ。
「マジックショーとファミリーって相性がいいので、日中のファミリーや観光客を狙った形にしていきたいという狙いで」と店長。きっかけの一つは、常連客からの声だった。「自分の子供も連れて来たいと言われるようになり、ファミリーイベントを立ち上げた」
ゴールデンウィークに開催されたマジックショーには、子供の興味に引き寄せられた保護者の姿もあった。
来場した保護者の一人はこう話す。「子供が手品に興味を持ったので、行ってみようかと思ったけど、夜はビルに入っていくのに抵抗があって…明るい時間帯だと行きやすいなとは思いました」

また別の来場者も「興味があるものが片町にあれば行きやすいかな」と語るように“昼に行ける理由”が片町への心理的なハードルを下げているようだ。
バーから「魔法レストラン」へ
店の挑戦はイベントにとどまらない。現在のマジックバーから、2026年中に昼も楽しめるレストランへと業態を変える計画だ。整備費は約100万円。店内には福井らしく恐竜をデザインした壁紙も取り入れる予定だ。

店長は将来像を「片町ってやはり夜の町なので、もう少しファミリーも来やすいよう、魔法レストランにして、観光産業に目を向けながら頑張って店を運営していきたい」と描く。
夜のバーから、家族が昼間に足を運べるレストランへ。片町に「昼というもう一つの入り口」を作ろうという試みが始まっている。
