人的被害も出るなど、活動が活発化しているクマ。岐阜県飛騨市では5月12日、クマから身の安全を守るための、新たな撃退装置の実証実験が始まりました。
■AI活用した撃退装置 「危険だと思わせることが大事」
全国でクマの出没情報が相次ぎ、深刻な社会問題となっています。11日に環境省が発表した2025年度の出没件数は、全国で5万件を超えました。
そんな中、岐阜県飛騨市で始まった実証実験で、果樹園に設置されたのは、AIベアースプレー、略して「AIBeS(アイベス)」です。

岐阜大学でクマ被害の対策などを研究する森部絢嗣准教授(46)が、野生動物の調査向けカメラなどを手掛ける会社と共に開発した、クマなどの撃退用装置です。
岐阜大学の森部絢嗣准教授:
「AIがクマと判定した時に 指示がこちらに来て、この中にあるクマスプレーを噴射させる仕組みになっています」
AIを使い、クマなど撃退が必要な生き物にだけスプレーを噴射する、全国初の撃退装置です。
写真で試してみたところ、カメラに徐々に近づけていくと、自動でスプレーを噴射しました。

一方、クマのイラストを顔に当てた人間が近づいてもスプレーは噴射されず、AIは95%を「人間」として認識しました。

岐阜大学の森部絢嗣准教授:
「ここは危険だと思わせることが大事かなと思っています。何もしなければ、クマはここが安全でエサがある場所だと認識してしまいますので、人間側が対処していくしかない。第1号機になりますので、条件を検証してから本格導入になるかなと思います」
岐阜県内でのクマの目撃件数は、4月から5月11日までに既に75件あり、12日朝も揖斐川町で1頭の目撃情報が寄せられるなど、深刻となっています。
実証実験は今年9月末ごろまで行われ、精度や改善点を洗い出したいとしています。
■クマの出没相次ぐ…昨年度の被害は過去最悪
環境省によりますと、全国のクマの出没件数は、現在の集計方法となった2009年以降、1万件から2万件を推移していました。
ところが、11日に発表された2025年度の速報値を見ると5万776件と過去最高で、前の年度と比べるとおよそ2.5倍に急増していて、これまで最も多かった2023年度と比べても2倍を超えています。

2025年度に人的被害にあったのは238人で、うち13人が亡くなっていて、どちらも過去最悪となりました。
