熊本地震からの復旧工事が続く熊本城について2日連続でお伝えします。熊本地震と同等の揺れに見舞われても崩れない石垣を目指した実験は熊本から遠く離れた石川県金沢市で行われていました。

【郡司アナ&熊本城総合事務所 復旧整備課 田崎 昌平さん】
「熊本地震から10年で、姿がどんどん変わっていっているわけですけど、石垣の復旧工事は今後もずっと続くと思っていいんでしょうか?」
「復旧の予定が2052年度を予定していますけど、それまでずっと石垣の復旧は続くことになります」「熊本地震が同じように起きたときに崩れないようにというような考え方で復旧されているんでしょうか?」
「我々が補修している考え方としては、熊本地震と同じぐらいの大きい地震が来た場合にも耐えるような構造を目指して復旧を進めています」
「実際に補強した例というのもあるんですか?」
「こちらにある飯田丸はまさしく例でして、中に『ジオテキスタイル』というものを敷きこんで、さらに前の方から築石が落ちないように受圧板をつけて崩れないような工法をとっています」

飯田丸五階櫓では建物復旧後、熊本地震と同等の揺れでも石垣に被害が出ないよう
積み直しの際、耐震補強が行われました。

しかし、表面の石材、築石が落ちないよう固定するための受圧板が露出し、「本来の景観と異なり、やや違和感もある」という意見も寄せられました。

今後、特に熊本城の魅力の一つである『連続枡形通路』など狭い通路を囲う石垣を積み直す際は安全の確保と景観の維持の両面が求められます。

【田崎さん】
「この工法では対応できない所とかについて改めて工法を検討している。そのための実験も行っているというところになります」

地震に強く、見た目も阻害しない補強を目指して。

その実験は、熊本から約700キロ離れた石川県金沢市で行われていました。

【郡司&扇精光コンサルタンツ山口 昌紘さん(技術士)】
「これはもうまさに石垣ですよね」「今造っている最中です」「スケールでいうと
どれくらいになるんですか」「10分の1のスケールで造っています」

熊本市では、コンサルタント会社、金沢大学と合同で石垣が地震の揺れでどう崩れ、
どのような補強を行えば崩れにくくなるのかの実験を行いました。

実験で用いる築石の模型ひとつにも工夫が施されています。

【郡司アナ&前田工繊 東京営業部大山 謙吾さん(技術士)】
「どうやって造るんですか、これ」「築石につきましては、こういった型枠を3Dプリンターで打ち出して、この中にセメントと水と砂と重量骨材を入れて熊本城の築石の比重に合わせてこのモルタルでできた築石を造っています」

そして実験には金沢大学の学生も協力します。

【金沢大学 理工学域 地球社会基盤学類4年(当時)猪飼 颯良さん】
「今年の9月に、研究室のゼミ旅行という形で熊本に行かせてもらって、実際に
熊本城の状態を見させてもらって、今やっている実験がどういうところに適用されるか、関われるのか見学には行きました」(実際に見て?)「自分が思っている以上に想像以上に大きいプロジェクトに関わっているんだと実感しました」

【金沢大学 自然科学研究科地球社会基盤学専攻 大学院1年(当時)小森 慎太郎さん】
「皆さんは研究室としては専門はどういう分野になるんですか?」
「僕たちは土木だったり建築を専攻していて、その中でも地震工学研究室という
構造物の耐震だったりそういった研究をしています」「熊本城の現状、皆さんで見に行かれたというときには一緒に行かれた?」「ちょっと…体調不良で(周囲爆笑)
行けませんでした」

こうして積まれていった補強なしの石垣がどこまで地震に耐えられるのか、段階的に揺れを大きくしていく実験が行われました。

【学生】
「150ガル、加振します。3…2…1」

『震度5強』に相当する150ガルで北側の上部に膨らみが生じます。そして…。

【学生】
「200ガル、加振します。3…2…1」

『震度6弱』に相当する200ガルでその面が崩落しました。

揺れによって栗石が動き、築石近くで栗石の沈下が見られます。

築石の上から3段目の高さで栗石の密度が高まると、今度は表面の築石を押し出すような力が働きます。

この力に耐えられなくなった築石は下から3段目までを残して崩落しました。

この日の実験では次の250ガルで南側も崩落。10分の1スケールの模型が
熊本地震後のような姿になりました。

【金沢大学 理工研究域 村田 晶 助教】
「今日の試験に関していうと、石塁タイプで無対策のようなものですので、今回の熊本地震の時には石塁タイプのところが多数崩壊していました。それが実験的な形で
表現できたのではないかと考えています」


「石塁型」というのは手前も石垣、奥も石垣といった構造で、通路とか門があった場所に用いられることが多く、例えば連続枡形通路など熊本地震では「石塁型」と呼ばれる場所が多く被災しました。今回の実験では、やはり補強なしの石塁型は地震に弱いということが証明された形です。

では、同じ石垣模型に新たな耐震補強を施して同じように揺らしたらどこまで耐えられるのか。29日お伝えします。

テレビ熊本
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