絶滅の危機から救い、豊かな食文化につなげる「海藻革命」。
挑戦の現場を取材しました。
人気拡大中の“ある食材”の専門店。
多くの人が食べているのは、海藻ラーメンや海藻スイーツなど、“珍しい海藻料理の数々”。
実は、日本には食べられる海藻が約1500種類もあり、海藻食の文化は世界の中でも最先端と言われていますが、ある危機が迫っています。
世界初の「陸上栽培」や「海面栽培技術」を用いて、絶滅危機の海藻を次々と復活させ、海の生態系や海藻食の文化をより豊かにする「海藻革命」とは。
海藻の研究・生産・料理開発を一貫して行う、スタートアップ企業「シーベジタブル」。
多くの海藻が集まる藻場は、海水温の上昇やウニが海藻を食べ尽くす食害などで、1年間あたり約6000ha減少。
この面積は東京ドーム1200個分程に相当し、海の砂漠化が深刻化する中、力を入れているのは世界初で特許も取得している海藻の「陸上栽培」です。
陸上に巨大な水槽を作り、ミネラル豊富で異物の少ない地下海水を活用することで海藻を安定的に栽培することが可能に。
水質・水温・光を徹底的に管理することで、海藻本来の香り・うまみを最大限に引き出すことができるといいます。
「シーベジタブル」陸上栽培担当スタッフ:
ここで栽培しているのは「すじ青のり」。お好み焼きやたこ焼きにかける海藻。
また、各地域の漁師と連携し、海藻を海で育てる「海面栽培」にも着手。
「シーベジタブル」海面栽培担当スタッフ:
天然で収穫しづらい「ミリン」を栽培している。うちは種苗から作れる技術を開発して、希少な海藻を海で養殖している。
これまで、海藻を胞子から育てる「種苗生産」はワカメや昆布など、数種類しかできませんでしたが、「シーベジタブル」では独自のノウハウを活用し、“絶滅危機”や“希少な海藻”なども含め、30種類以上の種苗生産に成功。
一方、生産した海藻の出口をどう整えていくかも課題に。
一人あたりの海藻の消費量は、ピーク時から約50%減少しています。
そんな中、新たな海藻の食文化を発信していきたいと東京駅のすぐ近くに海藻食の専門店もオープン。
「シーベジスタンド」料理長・大山浩輝さん:
日本の近海に1500種類という海藻が生息。そのほとんどが食べられる驚きを知ってほしい。海藻って食物繊維が豊富で、体にも良い面も多い。食感や香りが良い海藻もある。海藻によっては炒めたり、揚げたり、主役になれる存在だと思っている。
トップシェフなどを交え、今までにない海藻の調理や加工、発酵方法を研究し、5種類の海藻が入った海藻ラーメンに海藻サラダ、海藻ケーキなども開発。
客からは「これよく考えると、全部の料理に海藻が入っているんですもんね。海藻のビールと海藻のクラフトジンと。ビールは青のりの香りがして、おいしい」「海の香りがする。海藻に特化したラーメンは珍しい。すごく新鮮でおいしかった」という声が聞かれました。
ミネラル・食物繊維が豊富な海藻は健康促進に役立ち、世界中の料理人やレストランからも注目を集め、取引は年々増加。
今後はこの場所で様々なコラボイベントなども実施し、海藻食の可能性をさらに広げていきたい考えです。
「シーベジタブル」共同代表・友廣裕一さん:
海で海藻を育てると、海の生態系が回復するというエビデンスも。海藻を育てている海と育ててない海で比較すると、最大36倍、魚の個体数が増える。おいしい海藻を食べるために栽培しているが、生物多様性にもポジティブに貢献できる。今までやっていなかった地域で新しく海藻を養殖していく。