4月13日に大阪・関西万博の開幕から1年が経った。万博が人々の心に灯した火は消えていない。
「万博でやり残したことが、ようやく叶えられた」
そう声を弾ませながら、1時間半もの行列に並んで手にした海外グルメを頬張る家族の姿があった。
万博に熱狂したファンや海外パビリオンのスタッフのその後を徹底取材した。
12日、吹田市の万博記念公園で開かれたのは、大阪・関西万博の開幕から1年を記念したイベント。
パビリオンの展示が再現され、各国の万博グルメが味わえるエリアなどファンとっては夢のようなイベントだ。
■大阪・関西万博の開幕1周年を記念するイベントは長蛇の列も
2026年4月、大阪府吹田市の万博記念公園で、大阪・関西万博の開幕1周年を記念するイベントが8日間にわたって開催された。
長三紘眞さん(10):わ~!万博に来たみたい。
会場では各国パビリオンの展示が再現され、世界各国の万博グルメが味わえるエリアも設けられた。開場直後から大勢の来場者が詰めかけ、グルメエリアにはお昼前にもかかわらずすでに長蛇の列が出来上がっていた。
そんな会場に、取材班がひときわ目を引く家族を見つけた。長三さん一家だ。
万博の会期中、何度も足を運んでいたという一家が特に気に入っていたのが、バルトパビリオンだ。スタッフたちが子どもたちと一緒になって遊んでくれたこと、その温かい交流が忘れられなかったという。

■1時間半かけてようやくたどり着いた念願の万博グルメ
万博の会期中、バルトパビリオンの海外グルメを食べようとするたびに長い行列に阻まれ続けた長三さん一家。1周年イベントこそはと胸を膨らませてグルメエリアに向かいましたが、現実は甘くなかった。
長男・紘眞さん(10):めっちゃいるやん。
エリアに足を踏み入れた途端、思わず声が漏れました。それでも諦めるわけにはいかない。
家族は二手に分かれて別々の列に並び、1時間半かけてようやく念願の品を手に入れ、「おいしい、めっちゃ」と満面の笑みで頬張る。

■長女の伊乃さんには、万博を通じて次の目標も
永三さん一家にとって、万博が残したものはおいしい思い出だけではなかった。会期中にバルトパビリオンで出会ったスタッフたちとは、今でもSNSを通じて交流が続いている。
「みんなインスタで一応つながってて、いろんな国の人と交流をしてること自体がすごい、もう貴重な体験で。それを見てるとすごくうれしくて」と母親の由伊さんは話す。
そして長女の伊乃さんには、万博を通じて次の目標が生まれた。
長女・伊乃さん(12):世界とか旅行行って、なんかたくさんの人としゃべりたいなって、万博を通じて思いました。同じ言語でしゃべって、日本語じゃなくてまた、その国の言葉で。
旅先の国の言葉で、その国の人々と語り合う。万博で世界の多様性に触れた少女が抱いた夢は、確かな方向を持ち始めていた。

■万博をきっかけにヨルダンへ旅行した家族も
会場には、万博をきっかけに実際に海外へ飛び出した家族の姿もあった。
ヨルダンパビリオンで砂漠の砂を裸足で踏みしめる体験に心を動かされたという来場者は、「ほんとにヨルダンにも年末年始旅行してきました」と笑顔で話してくれた。
「ペトラ遺跡、めっちゃ大きかった」という言葉には、本物の旅が詰まっていた。

■キルギスパビリオンの担当者アジスさんはイベントでも大人気
万博の1周年イベントの会場で、ひときわ人に囲まれていた人物がいた。中央アジアの国、キルギスのパビリオン担当者だったアジスさんだ。
アジスさんとnewsランナーの吉原キャスターが初めて出会ったのは、去年1月、万博開幕前の国際会議の場でした。キルギスの高級蜂蜜を食べさせてもらい、意気投合した二人。その後、吉原キャスターはアジスさんの招待でキルギスを訪問し、先住民の暮らしを体験するなど現地の魅力を満喫した。
万博を経て、アジスさん自身は変化を実感していた。
「キルギスって、ポピュラーになってですね」とアジスさんは目を細める。かつて「イギリス」「ギリギリス」と間違えられることも多かったという国の名前が、万博を通じて人々の記憶に刻まれた。
1周年イベント会場でも、「キルギスのファンです」と声をかけてくる来場者の姿があった。万博での存在感が、確かな認知度の向上につながっていた。

■アジスさんの単独トークイベントも
1周年イベントの前日には、グランフロント大阪でアジスさんの単独トークイベントが開催された。大勢のファンが詰めかけたその会場に、アジスさんには内緒で吉原キャスターが姿を現した。
吉原キャスターが「アジス」と声をかけると、「いやー、びっくりします」と、驚きを隠せないアジスさん。万博の閉幕日以来、半年ぶりの再会。二人は久しぶりにキルギスの高級蜂蜜を一緒に試食した。
「まいうー」と声を合わせて笑い合う二人の姿は、万博が生んだ縁の深さを物語っていた。

■キルギスの知名度アップと日本でのビジネス展開は着実に力に
アジスさんが万博に力を入れた本当の目的は、キルギスの知名度アップと日本でのビジネス展開だった。その成果は、着実に形になってきている。
今月、アジスさんは東京で開催されたIT企業の商談会「Japan IT Week春」に参加しました。キルギスは近年IT産業の振興に力を注いでおり、国内外からおよそ1200社が出展する場に、として参加したのだ。
アジスさん:万博のおかげで、キルギスがポピュラーになって、『政府が参加してください』と。

■商談会の会場でもアジスさんの“武器”は蜂蜜
商談会の会場でも、アジスさんの“武器”は蜂蜜だ。ITとは直接関係のない高級蜂蜜で来場者の心をつかみ、商談のきっかけを作る。万博のパビリオンで磨いたその手法は、ビジネスの場でも健在でした。
そしてその商談会で、大きな成果が生まれました。以前から交渉を続けていた愛知県のドローン会社の社長が、来月からキルギスでのビジネスを始めることを決めた。
キルギスは山岳地帯が多く、高い山をドローンで調査したりAIと組み合わせたりすることへの期待が高まっています。アジスさんはその締めくくりをこう表現した。
アジスさん:私たちの関係は、キルギス蜂蜜のような甘く、体にいい関係を、よろしくお願いいたします。

■「つながりは続いている」吉原キャスター
1周年イベントは、閉幕日にも会場を盛り上げたドローンショーの復活で幕を下ろした。
「つながりは続いている」と語るのは、今回の取材を通じてアジスさんとの縁を深めた吉原キャスター。
吉原キャスター:インターネット社会でいろんなつながり方ありますけれども、対面で会うことの素晴らしさ、それを日本でやっぱり世界を感じることの素晴らしさ、身をもって感じたこの1年でもありましたね。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年4月13日放送)

