地域社会の一員としてデータセンターの貢献は
―――地域社会には何か還元しているのか?
ドイツ・ベルリンのケースですが、データセンターから発生する熱を利用して温水をつくり、地域社会のシステムにつないで1万軒以上の住宅やオフィスビルに暖房として供給しています。逆に、循環して戻ってきた冷却水を私たちも再利用できる仕組みになっています。
ここバージニア州では、公園など地域社会が必要なものに寄付をしてきましたし、大学生や高校生をデータセンター内の講堂にも招待します。私たちが地域社会の一員だからこそ、技術系の学生などにここのデータセンターに興味を持ってもらい、かつ「働きたい」と思ってもらうことで、将来の担い手となる人材を確保するのも重要です。
「透明性」「電力確保」「ルール」の必要性
自治体によっては、データセンターからの税収が歳入の35%を占める。地元にとっては魅力になる場合があり、取材した多くの住民は意外にも「データセンター自体には反対ではない」と話す。
では、住民の不満の根本はどこにあるのか。
データセンター側が自治体と「Non-Disclosure Agreement(秘密保持契約)」を結んで住民を蚊帳の外にしたケースもある。環境への影響も提示されず、多くの不満は「透明性の欠如」にある。
また、電力の供給力が建設に追いつかない中、電力会社のインフラ費用がそのまま住民の電気代に「転嫁」されている現状も大きな不満だ。
さらに、知らぬ間に住宅街や学校の近くで建設が始まったエリアもあり、建設可能な区画を整備する際の周知方法の不備も指摘されている。
ベルティ氏は、データセンターを一刻も早く稼働させることよりも、地域社会との関わりを深めて連携し、どのように貢献していくかを模索することの方がはるかに重要だと強調する。
また、電力不足の問題に対応するために現在、「SMR=Small Modular Reactors(小型モジュール炉)」や天然ガス発電機について議論がされているという。
今後は大規模なデータセンターから離れ、小規模なデータセンターが各地に分散される方向にあるそうだ。
社会全体がAIの恩恵を享受するためには、データセンターや自治体の情報の透明性は不可欠で、地域住民との丁寧な向き合い、そして現状に合わせたルール作りが必要だ。
【執筆・取材:FNNニューヨーク支局長 弓削いく子、撮影・取材:ディエゴ・ベラスコ、伊東浩文】
