高市早苗総理大臣は12日の自民党大会で、憲法改正について「発議にメドが立ったと言える状態で来年の党大会を迎えたい」と述べ、今後1年で国会発議に道筋をつけたいとの考えを明らかにした。

自民党大会には世良公則さんが登場し「燃えろいい女」を熱唱 4月12日
自民党大会には世良公則さんが登場し「燃えろいい女」を熱唱 4月12日
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筆者がそれより注目したのは、高市氏が「今年いくつの公約を実現できたか、来年いくつの公約を実現できるかが党勢拡大につながる」と述べたことだ。

支持者が実現を願う公約は

高市支持者はどの公約の実現を願っているのだろうか。

安倍晋三元総理の後継者たる高市氏に保守系の支持者が望んでいるのは、「食料品の消費税率の2年間ゼロ」や「議員定数削減」ではないだろう。

安定的な皇位継承のための「皇室典範の改正」であり、夫婦別姓議論に終止符を打つ「旧姓使用の法制化」であり、「国旗損壊罪」の制定であり、そしてその先に憲法改正がある。

この中で筆者が一番気になるのが「皇室典範の改正」だ。

皇室典範の自民党改正案に否定的な野田氏

中道改革連合の野田佳彦前共同代表が6日、自らのホームページで「一つの家族の中に皇族と一般国民が同居するのは極めて不自然」と述べて、女性皇族が結婚後も皇族に残る場合もその配偶者や子を皇族にしない、という自民党などの案に否定的な姿勢を改めて示した。

自民党案には否定的
自民党案には否定的

また旧宮家の男系男子の養子縁組による皇室復帰についても、「慎重な態度をとってきた」と述べて容認しない姿勢を示した。

安定的な皇位継承のためのこの2つの案については国会で衆参の全党会派による協議が行われてきたが、自民案に否定的なのはこれまでほぼ立憲民主党と共産党だけだった。

中道「女性皇族の配偶者、子に皇族の身分付与」反対多数に

ただ中道改革連合でこの議論の中心を担っていた野田氏が衆院選惨敗の責任をとって代表を辞任し、もう1人の馬淵澄夫・元選対委員長も落選したことを受け、「現実派」と見られる笠浩史・元国対委員長が責任者に就任した。

“現実派”とみられる笠浩史元国対委員長
“現実派”とみられる笠浩史元国対委員長

笠氏によると中道改革連合の全議員49人にアンケートを取ったところ、「女性皇族の配偶者、子に皇族の身分を付与する」については「反対」19人が「賛成」10人を上回り、「どちらとも言えない」が15人だった。

また「旧宮家の養子」については「賛成」24人が「反対」7人を上回り、「どちらとも言えない」が13人だった。

公明出身の28人の意向が大きく反映された結果だが、立憲出身者の中にも野田氏とは異なる意見を持つ人がいるという。野田氏にはそろそろ賢明な判断を求めたい。

皇室典範改正案を採決の可能性は

笠氏は15日に再開される与野党協議では「女性皇族の身分保持」には賛成し、他の論点については引き続き党内で議論するとしている。

皇室典範改正案の採決「そろそろだろう」との意見も
皇室典範改正案の採決「そろそろだろう」との意見も

自民党内からは「この種の議論は多数決で成立させるべきものではないから丁寧にやってきたが、そろそろだろう」(萩生田光一幹事長代行)という意見も出ている。

ある野党党首に「自民が採決したらどうするか」と聞いたところ、「丁寧にやってほしい」と繰り返すだけだったが、表情を見る限り採決を容認するのかなと思った。

高市総理が予算審議を無理しなかった理由

高市総理は予算の年度内成立を目指し、衆院では「異例」のスピード審議を行ったが、参院では衆院のようにはいかず最終的に年度内成立を諦めて、日本保守党と無所属議員の賛成を取り付け、7日に成立させた。

自民参院幹部に対して「怒っている」との情報もあるが…
自民参院幹部に対して「怒っている」との情報もあるが…

総理としてはメンツを潰された形で、参院幹部に対して怒っているという情報もあるのだが、実は国会は7月中旬まで続くので、例年より1ヶ月近く長い期間が残っている。しかも最後に年度内成立を諦めたので、野党とも決定的な決裂とはならなかった。

党大会で高市氏が改憲を含めた「保守的な政策」の実現に強い意欲を示したのを聞いて、やはり彼女は本気でこれらのことをやろうと思っており、だから予算審議では最後は無理しなかったように見えた。

というのは予算案に反対した野党の中で国民民主党、参政党、チームみらいなどはこれら保守的政策に賛成する可能性が高いからだ。

高市総理の英断を

その中心的な位置を占める「皇室典範の改正」について衆院野党第1党の中道改革連合の議員のアンケート結果を見る限り、萩生田氏のいう通り「そろそろ」決める時ではないだろうか。

安定的な皇位継承は日本にとって極めて大事な問題
安定的な皇位継承は日本にとって極めて大事な問題

安定的な皇位継承は日本にとってきわめて大事な問題だ。現状では、独身の女性皇族が結婚すれば皇室を離れる事になる。時間はあまり残っていないと思う。高市総理の英断を求めたい。

【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。