緊迫する中東情勢の影響で続く、原油の高騰と供給不安。その影響は、鉄道や子供たちの学校生活に欠かせないランドセルにまで及んでいます。
■年間約4億円の赤字の中…軽油の入札が不調に
岐阜県美濃加茂市と郡上市を結ぶ長良川鉄道。1986年に開業し利用者数は年間77万人余りで、“山間地域の足”であるとともに、観光列車としても親しまれています。

11両ある列車は、すべてがディーゼル車。電車ではないため燃料は軽油で、およそ72キロの路線を走るために1日1000リットルほどが必要です。
しかし、2月末のアメリカ・イスラエルとイランの軍事衝突で中東情勢が不安定化して以降、複数の仕入れ先から「軽油が用意できない」と申し出があり、開業以来初めての入札不調に陥ったといいます。

長谷川鉄総務部 中井啓介課長:
「3月中ごろからですね、『まとまった量の用意ができない』という話があって困ってしまいました。ご協力いただけるところが見つかって、何とか運休等はせずこれております」
急騰する燃料費。ただでさえ年間4億円近い赤字という厳しい経営状況のなか、新たな仕入れ先を見つけるなど、綱渡りの状況が続きます。

総務部 中井啓介課長:
「あらがいようがないといいますか、中東情勢によって影響がすぐ出てしまったので。何より第一は安定的に供給いただけることを望んでいます」
■ランドセルにも…仕入れ先から10%以上値上げの話が
名古屋市中村区のランドセルメーカー「村瀬鞄行」。内側の仕切りをなくして荷物を入れやすく軽くしたモデルに、特注品の甲冑をイメージしたものなど、78種類のランドセルが並びます。

2027年春の入学を見据えたランドセル商戦は既に始まっているといいますが、ここにも中東情勢の影が…。
ランドセルの素材は牛革や人工皮革などが使われています。中でも人工皮革のランドセルは、牛革に比べて1万円ほど安いものもあり人気ですが、人工皮革のほとんどは、原油がベースです。

先月末、仕入れ先から10%以上の値上げの話があったといいます。
また、革を貼り合わせるために使う接着剤の原料も石油由来。当面の材料は確保しているといいますが、中東からの原油の供給がこの先も滞れば、ランドセルづくりのコスト上昇は避けられません。

村瀬靖人社長:
「やはり打撃は出てしまう可能性があるんですが、できるだけ買い求めやすい形で作るのが課題になるかなと思います」
先の見通しについて、野村総合研究所の木内登英さんに話を聞きました。

木内さんによりますと、「終戦の合意まで距離があり、ホルムズ海峡の正常化にはまだ時間がかかる。原油価格はジリジリ上がっていくのでは」と話します。
また、ホルムズ海峡が正常に通過できたとしても、原油価格が日本の消費者に影響が出るのは数カ月や半年先になるため、その間は、物価高は続いてしまう可能性があるということです。
正常化しても、「再び今回のような封鎖されるリスクを考えると、警備・保険の費用がかかるため、以前の価格には戻ることはないのでは」と話します。
