2026年夏に秋田県で開催される全国高校総合文化祭。その美術工芸部門で、秋田県代表作品に選ばれたのは、秋田市の秋田中央高校に通う2年生・佐藤紗さんが描いた一枚だ。入部してまだ1年ほどという短い期間で、全国への切符をつかんだ背景には、家族へのまなざしと仲間に支えられた創作の日々があった。
放課後の美術室 小さな部活に大きな集中力
秋田市にある秋田中央高校。放課後、美術室では7人の美術部員が静かにキャンバスと向き合っている。決して大きな部活ではないが、その分、一人一人が作品制作に深く集中できる環境がある。
佐藤紗さんが美術部に入部したのは1年生のとき。経験豊富とは言えない状態でのスタートだったが、周囲の刺激を受けながら、着実に表現の幅を広げていった。
初めての大作が特賞に
入部後、初めて大きなキャンバスに挑戦した作品『瞳に会う』。制作当初は「どうしたらいいか分からなかった」と振り返るほど、試行錯誤の連続だったという。
それでも、細部まで緻密に描き込み、形の美しさを追求したこの作品は、2025年6月の秋田県美術展覧会で特賞を受賞。
「自分が大事にしたい部分が、審査員に伝わったことがうれしかった」と、佐藤さんは受賞当時の気持ちを語る。
家族を描くことで見えてきた自分だけの表現
続いて評価されたのは、祖父と獅子舞を題材にした『福来る門(ふくきたるかど)』だ。秋田南地区高校美術連盟展で連盟賞を獲得し、佐藤さんの表現はさらに注目を集める。
そして、秋田で開かれる第50回全国高校総合文化祭(あきた総文2026)の県代表作品となった『大樹の潤い』。この作品のモチーフは、同居する祖母だ。
年齢を感じさせないほど元気で、力強く、若々しい存在。佐藤さんが尊敬する祖母が放つエネルギーを「自分なりの答えとして描きたかった」という。
「おばあちゃんは自分にとって、吸い込まれそうなほどパワフルな存在。その気持ちを表現した作品が全国に行くとは思わなかったので、見てくれる人が増えるのが素直にうれしい」と笑顔で話す。
1人では描けない 支えてくれる存在
佐藤さんは、作品作りを「決して1人では成り立たないもの」だと感じている。部員同士で意見を交わし、顧問の深井富美子教諭から助言をもらいながら、作品は少しずつ完成に近づいていく。
深井教諭は、「自分の考えや思いを、どう相手に伝えるかを絵を通して学んでほしい」と話す。美術部での経験が、佐藤さん自身の生き方をも豊かにしていくことを願っているという。
「絵が生き続けるように」 描き続ける未来
「賞は自分だけの力では取れない」。そう実感している佐藤さんは、他者の視点の大切さを強く感じている。
そして目標は、描いて終わりではない絵を生み出すことだ。
「見た人の頭の中で生き続けるくらい、印象的な絵を描き続けたい。体力がある限り、ずっと」と力強く語る佐藤さん。
家族への思いと仲間の支えを力に変え、若き才能は今、全国の舞台へと歩みを進めている。
(秋田テレビ)
