フリルにリボン、ブーツ。和服にそんな洋風のアクセントを組み合わせた、型破りなコーディネートが注目されている。手がけたのは鹿児島県在住のRENONさん(17)だ。着物モデルとして発信するだけでなく、2025年に16歳で着物レンタル会社「てりふりなし」を起業。会社設立事業を始めてからまもなく1年を迎える今、その活動と原点に迫った。
「見て!かわいいでしょ」——型にとらわれない和洋折衷の世界
2026年3月、鹿児島市内のホテルで開催されたファッションショー。テーマは鹿児島を代表する伝統織物・大島紬だ。伝統的な着こなしが披露される中、ひときわ異彩を放つコーディネートがあった。フリルやリボン、ブーツを取り入れた和洋折衷の装い。このコーディネートを考案し、自らモデルとして舞台に立ったのがRENONさん(17)である。

着物から小物に至るまで、すべてRENONさんが代表を務める会社「てりふりなし」から提供されたものだ。通信制高校に通いながら、事業の代表でもあるという二足のわらじ。その活動の拠点は、県内の自宅から少し歩いた場所にある古民家だ。
「数えたことないけど、100は優に超えているんじゃないかな」
棚や壁には種類も年代も様々な着物がずらりと並ぶ。もともとは親戚の家だった建物が、いつしか着物の館へと姿を変えた。
コーディネートのアイデアはどこから湧くのか。RENONさんはこう語る。「着物って言っても振袖があったり、付け下げもあったり、訪問着、黒留袖があったり……それをコラボさせたら絶対かわいいと思って。ほらかわいいじゃんとなって、見て!かわいいでしょ、という風になって」。その言葉からは、着物への純粋な愛情がにじみ出る。

500円の着物と、不登校だった日々
RENONさんの原点は、中学2年生のときに初めてフリーマーケットで手に入れた500円の着物と帯にさかのぼる。しかしその背景には、簡単には語れない日々があった。

「小学4年生~5年生でいじめというか、人間関係のトラブルがあって……起立性調節障害を発症していろんな理由が重なって、中学1年から3年までずっと不登校」
起立性調節障害とは、自律神経の働きが乱れることでめまいや立ちくらみ、強い眠気などが現れる疾患だ。通常の学校生活を送ることは難しく、自宅学習を選ぶことになった。

それでも、外の世界への扉を閉ざさなかったのは、コスプレへの情熱だった。「コスプレメイクをして自分の顔が変わって違う自分になれたら、みたいな。自分の暗いところを気にしなくて良くなる」。鹿児島で開催されるイベントに参加するため、体調不良をおして足を運んだ。
大好きな着物と大好きなコスプレ——その2つが出会ったとき、RENONさんの「和洋折衷」というスタイルが生まれた。既存の着こなしのルールに縛られない自由な発想は、この時期に育まれたものだ。

「貴重な着物が捨てられるのはもったいない」——16歳での起業
着物への愛が深まるにつれ、RENONさんはあることが気になり始めた。フリーマーケットをめぐる中で、貴重な着物が使われないまま廃棄される現実を目の当たりにしたのだ。「もったいない」という思いが、事業のアイデアへとつながった。
2025年、16歳のときに立ち上げたのが着物レンタルと小物販売を行う会社「てりふりなし」だ。社名の「てりふりなし(照降無)」とは、晴れても降っても影響がない——つまり状況の変化に左右されないことを意味する言葉。どんな状況にあってもしなやかに生きるという、RENONさん自身の志が込められている。
また、中にパニエ(ドレスにボリュームを出すためのスカート)を入れて着物をふわっとさせるなど、独自のスタイリング技術も「てりふりなし」のコーディネートに取り入れられている。

4月、18歳——次のステージへ
2026年4月に18歳となるRENONさんには、次の目標がある。古物商の資格取得だ。この資格を取得することで、リメイクした着物の販売が可能になり、「てりふりなし」の活動の幅はさらに広がる。今は資格取得に向けた勉強に励んでいるという。
「学校に行かなかったとしても、やりたいことを勉強して突き詰めていけば何でもできる。行きづらいとか言うけど、悪いところだけじゃないよっていうのを知って欲しい」

不登校という経験を経て、好きなことを力に変えてきたRENONさん。着物を通じて、同じような境遇にある若者たちへ、静かに、しかし力強くメッセージを送り続けている。
【動画で見る▶「学校に行かなくても道はある」不登校を力に変えた17歳が着物で切り拓く未来】
