春は別れの季節だ。新学期を目前に控えた4月3日の朝、三島村の学校に着任する教職員たちが、家族や同僚、教え子たちに見送られながら、鹿児島港からフェリーで島へと旅立った。

鹿児島市の村役場で出発式 村長から温かい言葉

三島村には3つの島に4つの義務教育学校があり、今年4月から新たに15人の教職員が着任する。フェリー出港に先立ち、鹿児島市内にある村役場では出発式が執り行われた。

岩切平治村長は着任する教職員たちに向け、こう語りかけた。

「皆さんには辞任時に離れたくないと涙を流せるくらい、島での生活が思い出深いものになることを願っております」

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島での日々が、いつか宝物のような記憶になること。その言葉には、三島村という小さなコミュニティへの深い愛情と、新たに島を訪れる人々への期待が込められていた。

南埠頭に集まった見送りの人々 校歌を歌い、涙

フェリーが停泊する鹿児島港の南埠頭には、多くの見送りの人たちが詰めかけた。「フレーフレー松山先生」「ありがとう」――そんな声が埠頭に響き渡る中、三島片泊学園に着任する教職員の一人はこう話した。

「新しい出会いが待っていると思うので、その出会いが楽しみです。中学校で野球部の顧問をしていたんですが、その野球部の子どもたちが多く来てくれてとても幸せです」

かつての教え子たちと一緒に校歌を歌い、思わず涙が流れた教職員もいた。指導してきた子どもたちの姿は、何にも代えがたい餞(はなむけ)だったに違いない。

単身赴任、新婚夫婦、家族での葛藤 それぞれの船出

見送りの場では、さまざまな事情を抱えた人々の姿があった。

父親が単身で黒島の学校に赴任するという家族は、複雑な思いを口にした。見送りにきた家族は「一番は寂しいけど、1年は(我慢)したいなと思う」と話す。当の本人も「家族を置いていくので心配ですけど、島にも子どもたちが待っていますので頑張って行きたいと思います」と、覚悟を胸に抱きながら島へ向かう決意を語った。

一方で、ほほえましいエピソードもあった。1月に結婚したばかりという夫婦が、ともに三島村へ異動するのだ。夫は三島片泊学園に、妻は三島大里学園にそれぞれ着任する。

「だいぶ心強いと思うので安心して島に行けるので頑張ります」(夫)

「今から始まる新生活がとても暖かい場所で過ごせることをうれしく思っています」(妻)

新婚ながら別々の島の学校に着任するという珍しい形ではあるが、二人でともに離島の生活に踏み出す姿は、見送る人々の心も温めたことだろう。

午前9時30分、フェリーが出港 新学期の準備へ

午前9時30分、「行ってきます」という声とともに、さまざまな思いを乗せたフェリーが出港した。船はゆっくりと岸壁を離れ、鹿児島港を後にした。

フェリーは夕方までにそれぞれの島に到着。着任した先生たちはさっそく新学期の準備に取りかかることになる。来週から始まる新学期、子どもたちとの新しい出会いが、15人の教職員を待っている。

三島村という小さな島々のコミュニティに、また新たな人と人とのつながりが生まれようとしている。

【動画で見る▶三島村に「行ってきます」 15人の教職員がフェリーで出発、家族や教え子が涙の見送り】

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