日本の鉄道再生の先駆的な事例となった富山駅と富山市岩瀬を結ぶ富山港線がLRTに生まれ変わって来月で20年を迎えます。
当時、一貫して公共交通を軸としたまちづくり、コンパクトシティ政策を進めた森雅志前富山市長が自らの市政運営と効果を論文にまとめ、博士号を取得しました。
市町村合併前から4期、2021年まで県都、富山市の舵取り役を務めた森雅志さん(73)です。
今月23日、京都大学の最高学位、博士号を取得しました。
専門領域は、都市社会工学。
認められたのはまちづくりと交通政策の融合による地域活性化への効果をまとめた論文です。
*前市長 森雅志さん(73)
「いま、都市工学、土木計画学のテーマの一つが『理論と実践の接続』というワード。私だから言えること、それはまったくその通りだと言われた」
論文で際立ったのがコンパクトシティ政策を進めた「実践者」の視点、とりわけ、人口減少を背景に経営難に陥っていた民間事業、鉄道をまちづくりにどう生かすか、都市の経営戦略としての新しい考え方でした。
*前市長 森雅志さん
「市民県民の利用の質を上げるための投資として公費を使うべきだ」
2003年5月 森市長
「頻度よく走ることができれば 路面電車化による維持は効果の方が大きいだろう」
森さんのコンパクトシティ政策、始まりは北陸新幹線開業に伴う富山駅の高架化事業を前にJRから経営が切り離された富山港線の再生。
20年前の2006年、全国初の本格的なLRTとして生まれ変わりました。
市が施設を整備し、民間事業者が運行する公設民営の上下分離方式は、その後、国の制度となり、第一号として市内電車を環状線に。
これらの施策で共通するのが鉄道を公共財として捉え、民間事業の赤字補填ではなく将来を見据えた「投資」として公費を投入したことです。
その結果、利便性が高まった公共交通の利用者増のみならず、沿線の活性化による税収増で当初、公費の投資額を超過していましたが、2015年から財政収入が上回るようになりました。
*京都大学名誉教授 富山大学特別研究教授 中川大さん
「もっと便利にすればもっと役に立つところ(鉄道)はたくさんあるが、鉄道事業者だけではできない。自治体が一緒にやることによって良いものができると学術的な視点から見ても独自性、新規性があると認められた。城端線・氷見線(の再構築)にもつながっているし、これからに向けて進んでいく一つのきっかけになる」
県西部ではJR城端線・氷見線、県東部では富山地方鉄道、それにJR高山本線。
再構築や活性化に向けた動きに自治体はどう向き合うのか、県都富山市で公共交通を軸としたまちづくりに取り組んだ森前市長からの問い掛けです。
*前市長 森雅志さん
「(コンパクトシティ政策は)市民生活の質を上げる。シビックプライドを上げる」