放置すると関節が動かせなくなり、日常生活に支障をきたすこともある「関節リウマチ」。発症から2年以内に急速に進行し、この間に適切な治療をすることが重要とされている。早期発見や早期治療のポイントを専門医に聞いた。
きっかけは“ちょっとした違和感”

話を聞いたのは、福井市にある杉本リウマチ内科クリニックの杉本和則医師。「関節リウマチは関節が腫れて痛みが出てくる病気。朝起きて顔を洗ったりするときに手首を返すのが難しくなり洗いにくくなったりする。2、3日ではよくならず3週間、4週間、5週間と長引くのが特徴」と説明する。

日常生活にも支障をきたす
関節リウマチは自己免疫疾患の一つで、免疫機能の異常により自分の体の一部を敵だと勘違いして攻撃してしまう病気。関節を覆う滑膜が炎症し、進行すると骨や軟骨、関節が破壊され、見た目にも大きな変化があらわれる。

国内の患者数は約80万人で、そのうち約8割が女性。40代から60代での発症が多くなっている。

杉本医師によると症状は「手首と指の付け根、真ん中の関節や足の指も出やすい。時間が経ってくると肘や足首、膝、股関節に出て、肩はかなり遅れて出る」と体のさまざまな関節に症状が現れるという。

発症後2年間での治療が勝負
日本リウマチ学会よると、関節の破壊は発症後2年以内に出現することが多く、この間に急速に進行することが明らかになっている。関節破壊が始まると、徐々に可動域が狭くなっていき、日常生活に支障をきたす。

杉本医師によると「肘は伸ばすことが不得手になってしまうので、遠くの物を取るときに痛いことで気付く。伸ばすことが最初に難しくなり、次に曲げることが難しくなる。そうするとシャツを脱ぐのも大変で、髪の毛や顔洗うのが大変、歯磨きが大変、ご飯を食べるのが大変と、どんどんできることが少なくなってしまう」という。一度壊れた関節を元に戻すことは難しいため、早期に治療を始めることが重要だ。

治療については「最初の2年間が勝負。そこで十分な治療ができないと、レントゲン写真上で特に手首や手の指の付け根に所見が出やすく、骨の傷ができる。傷ができるとそれを治すことはできないので、最初の半年から1年間でしっかりと治療をし、腫れや痛みを治すことが大切」と話す。

そのうえで、早期に治療を始めれば、寛解=リウマチの症状をなくし病気の進行を止めることも可能だという。そのうえで「朝起きたときの関節の腫れや痛み、あるいは違和感があって顔を洗ったり朝の支度をしたりするときに“何かおかしい”というのが続く場合には、整形外科やリウマチ科で診てもらうとよい」と早期発見、早期治療を呼び掛けている。

<関節リウマチ・早期治療のポイント>
・飲み薬や注射薬などで治療が行われるが関節の破壊が始まる前(発症後2年以内)に治療を始めることが重要。
・朝の関節の痛みや腫れ、違和感が6週間以上続く場合は受診を。