夜しっかり寝ているのに、日中に耐えがたい眠気に襲われる。そんな経験がある人は「中枢性過眠症」という病気かもしれない。特に春は症状が悪化しやすく、学業や仕事が手に付かない事も。近年、患者が増加傾向にあるというこの病気について医師に聞いた。
大事な仕事中に睡魔…解雇された例も
中枢性過眠症とは、睡眠を司る脳の中枢が原因で起こる睡眠障害の一種。夜の睡眠時間が十分であるかどうかに関わらず、日中に突然、強い眠気に襲われるのが特徴だ。
発症の要因は分かっておらず、同様の症状が3カ月以上続いた場合に診断される。近年は患者が増加傾向にあるという。
福井愛育病院の石原靖紀医師は「睡眠障害では不眠についてはよく聞きすると思うが、過眠はあんまり知られてない」とその認知度の低さを指摘する。
中枢性過眠症の代表的なものには、特に強い発作的な眠気が特徴の「ナルコレプシー」や、長時間眠り続けてしまう「特発性過眠症」などがある。
朝起きられず学校に行けないという学生や、会社員では仕事に支障をきたし寝込んでしまうことによって「会社を解雇されたりする事例もある」と石原医師。
本人の意思とは関係なく襲ってくる眠気が、学業やキャリアを脅かすことさえあるという。
寒暖差が大きい春は症状が悪化する人も
石原医師によると、特に春は症状が悪化する患者が多いという。要因としては自律神経の乱れを指摘する。
「冬のすごく寒い時期から春に向かう時期は、日によって寒い暑いがあり自律神経のリズムも乱れやすい。そういう時に眠気が強く出ることがある」
私たちの体は、活動を促す交感神経と、リラックスさせる副交感神経がバランスを取り合っている。自然な入眠には副交感神経が優位になる必要があるが、春先の激しい気温差によってこのバランスが崩れやすくなるというのだ。
その結果、そもそも夜に十分な睡眠が取れなくなり、日中の眠気がさらに悪化するという悪循環に陥る患者もいる。
また、春は新生活がスタートすることにより、睡眠時間が不規則になることも症状の悪化につながる一因だ。
大事な時に寝てしまう…は危険信号
中枢性過眠症の主な治療方法には、覚醒を助ける薬を使う薬物療法と、生活リズムの改善がある。中でも特に重要なのが、生活リズムの改善だという。

石原医師は治療の一環として、「睡眠日誌を付けてもらって、寝ている時間や服薬の時間などを記載してもらい、それを治療に役立てたりしています」と話す。
睡眠日誌を基に、夜寝る時間を早めたり、計画的に昼寝を取ったりすることで、症状が軽くなる患者もいるそうだ。
もし「授業中や試験で寝てしまうとか、仕事で大事なときに寝てしまうとか、そういうことがあるようなら医療機関を受診してはどうか」と呼びかける。
受診の目安となるチェックリストもある。
これら様々な状況でうとうとする可能性を4段階で評価し、合計点が11点以上になる場合は中枢性過眠症の可能性がある。
日常生活に支障をきたすような眠気がある場合は、セルフチェックをし、必要な場合は専門の医療機関を受診することが大切だ。
