宮崎県西都市は少子化に伴う生徒数の減少を受け、市内5つの中学校を再編した「西都中学校」を4月1日に開校する。再編決定から6年、通学手段や部活動の在り方が大きく変化する。県内では2025年度末、過去最多となる15校の公立小中学校が閉校。2000年以降、県内で閉校になった公立小中学校の合計は118校にのぼる。
79年の歴史に幕を下ろす
西都市立都於郡中学校の校舎創立79年を迎えた西都市立都於郡(とのこおり)中学校。戦国時代に天正遣欧少年使節としてローマ教皇に謁見した伊東マンショ誕生の地で、校歌にもその名前が出てくる中学校である。
3月22日、在校生や卒業生など約300人が出席して、閉校式が行われた。
都於郡中学校2年 図師碧咲さん:
私たちの学校は全校生徒39人という小さな学校です。しかし、私はこの都於郡中の生徒で良かったと胸を張って言えます。
生徒数減少への苦渋の決断
4月1日に「西都中学校」へ再編されるのは、妻(つま)、穂北(ほきた)、都於郡、三納(みのう)、三財(さんざい)の5校である。5校のうち、妻中以外は1学年1クラスしかない小規模校である。
西都市では2010年に906人いた中学生の数が、2023年には732人と15年間で2割近く減少した。教育委員会の推計では、4年後には650人を下回ると予測されている。
中学校の再編は、生徒により良い教育環境を提供するための決断であった。
西都市教育委員会 榎本浩之教育長:
生徒数が激減しているので、生徒の社会性を育てるという意味と教員の数の確保。さらには部活動も編成できない。いくつかの理由が複合的にあったので、西都中学校の開校という形になった。
西都中学校は現在の妻中学校に開校し、1学年6クラス、全校生徒約680人となる予定だ。
妻中学校 門松直子教頭:
ここが本来1つの教室だが、教室数が足りないということで、夏休みの間にここに間仕切りをしていただいた。
バス通学と部活動の地域移行
西都中の開校で特に大きく変わるのが、通学と部活動である。
穂北、都於郡、三納、三財校区の生徒216人はバス通学になる。市はコミュニティバスも活用しながら、スクールバスを朝1便、放課後2便、8つの路線で運行する予定だ。
都於郡中の生徒:
自転車で行く時はだいたい家を朝の7時40分くらいに出るけど、20分くらいに家を出てバス停まで行くので、早くなるから大変だなと思う。
また部活動では、既存の軟式野球や吹奏楽をはじめ、新たに地域探究や演劇など合わせて22の部活動を地域活動として行う予定だ。
西都市教育委員会 榎本浩之教育長:
先生たちと地域の指導者が連携して、有償で部活動を指導してもらって、その運営も民間の運営団体に委託して行う、新しい取り組みを始めようとしている。
地域活動では、指導者や教職員は運営団体に所属し、時給1600円の報酬で、生徒たちを指導。また、地域活動を行う生徒は部費とは別に月1000円の活動負担金を支払う仕組みに変わる。
西都市教育委員会 榎本浩之教育長:
基本的には先生方には希望を取って、ぜひやりたいという人と、逆にご自身の子育てで忙しいというのもあると思いますので、そこは強制しないという形で取り組もうと思っている。
中学校再編をきっかけに教職員の働き方改革にも踏み込んだ西都市。大きな変化の中で、一期生となる生徒たちは閉校の寂しさを感じつつも期待に胸を膨らませる。
妻中の生徒:
祖母や父が通った79年の歴史がある妻中学校が閉校になるのは寂しい。
妻中の生徒:
妻中で学んだことや友達と作った思い出を大切にして、西都中でも良いスタートを切れたら良いなと思う。

都於郡中学校2年 図師碧咲さん:
友達が他の学校にいるので、一緒の学校になって、たくさん話して、その友達とも思い出を作りたいと思っている。
慣れ親しんだ学び舎との別れは、地域にとっても生徒にとっても寂しいものだ。しかし、それは未来を担う子どもたちにより良い教育環境を手渡すための、地域を挙げた「前向きな決断」でもある。
バス通学の開始や部活動の地域移行など、新たな一歩を踏み出す西都市。4月7日の始業式で、5つの学校の伝統と誇りを受け継いだ「一期生」たちの新しい歌声が、西都中学校に響き渡る。
(テレビ宮崎)