船体に残る衝撃の痕
初日の水中調査は、対馬丸の船尾付近から始まった。

スクリュープロペラは、軸だけが残っている。そして反時計回りに進むと、船首に近い甲板の上には大きな機械。丸い部品から、ワイヤーを巻き上げるウィンチとみられる。
そして、魚雷が3発当たったとされる左舷側には、生々しい衝撃の痕が。

折れたマスト。鉄板が船の外側に向かって、大きく反り返っていた。魚雷2発が船内で爆発した痕とみられる。
近くにあった倉庫には多くの児童が集められていて、命を落とした可能性がある。
さらに、同じような大きな穴は左舷の中央後ろ付近にも。穴の向こうに、船内の様子がくっきりと見えた。
一方、右舷には、証言にあったような魚雷の痕が無いことが新たに分かった。

生存者の証言などから、右舷への「最後の一発」とされる爆発は何だったのか。

軍事ライターの小高正稔氏は「常にボイラーを炊いている状態なので、水が入ってくると蒸気爆発する。上部構造物の一部が大きくめくれたのだと考えます」と分析し、魚雷の命中とされた音は、船の蒸気機関の爆発だった可能性を指摘した。
「対馬丸」図面を独自入手
わずか10分程度で沈み、多くの犠牲者を出したとされる対馬丸。なぜわずかな間に浸水が進んだのか。
FNNは、イギリスで設計された対馬丸の図面を独自に入手した。

船には、浸水を食い止めるために隔壁があり、船首付近の魚雷は、隔壁に直撃していた可能性があるという。
大阪公立大 片山教授:
水密の壁があって、前のところに水密の壁があって、後ろにも水密の壁があるんですけど。2つとも穴あいて、水が入ったっていうのは、もしもそうだとすると、良くないところに穴が開いてしまいましたね。
さらに現代の船と違い、隔壁の上部が密閉されていない点に注目した。

大阪公立大 片山教授:
タイタニックもそうなんですけど。壁の上側まで水面が来てしまうと、上を乗り越えて、隣の部屋まで水が入ってしまう。
木片回収・・・船体の一部か
水中調査の2日目は、遺品や遺骨を探すため、船の周辺を捜索した。
子供たちの痕跡がないかくまなく捜索していくと、船体の近くで何かを見つけたのか、ロボットアームですくい取った。
「あ、入った」「木っぽいですね」
今回の調査では、遺品や遺骨の回収には至らなかったが、船の一部とみられる木片を回収した。

4歳で家族と対馬丸に乗船した高良政勝さん:
対馬丸の一部をなしていたものがあがってくる。今までより皆さんに、対馬丸の悲劇を感じてもらえるのではないかと思います。
戦後限られた証言から語り継がれてきた対馬丸の悲劇。今回その真実を捕らえた海中映像は、回収された木片とともに記念館に収められ、次の世代に戦争の記憶をつないでいくことになる。
(フジテレビ報道局・調査報道統括チーム 松岡紳顕)
