追突事故の死者を大幅に減らす切り札として、大型トラックへの搭載が義務化されている自動ブレーキをめぐり、十分に活用されていないことが分かった。誤作動や急減速による荷崩れへの不安が理由とされ、一部の運転手が状況に応じて機能を「オフ」にしている。義務化の裏側にある実情と課題に迫った。

レーダーで障害物を察知

3月の連休、三重県の新名神高速で大型トラックが車に追突し子どもを含む6人が死亡した。追突された2台の乗用車は原型をとどめておらず、事故の凄惨さを物語っている。

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大型トラックの事故は死亡事故になる割合が多く、これを防ぐために、国やメーカーが力を入れているのが「自動ブレーキシステム」。

一体どういうものなのか。

「衝突被害軽減ブレーキ」は、レーダーで前方の障害物を事前に察知し、事故が起きそうな場合に自動でブレーキをかける装置だ。2014年から、段階的に義務化されている。

去年9月には基準が強化され、2028年から全ての新車で新基準での搭載が必要となる。

「ドカン」大きな音とともにブレーキ

運送会社の協力を得て、総重量25トン以上の大型トラックで効果を検証することにした。

障害物に見立てた段ボールを並べていく。
自動ブレーキシステムで、この障害物のどのくらい手前で止まることができるのか。

まずは、時速20キロで検証した。

「ゴッ!」
大きな音とともに自動ブレーキがかかり、車体が大きく前のめりになって止まった。

車内のカメラには、障害物が近づくと「ピピピピ」という警告音が鳴り響いた後、自動ブレーキがかかって止まる様子が映っていた。

どれくらい手前で止まったのか。計ってみると、距離は1メートル11センチだった。

次に、速度を10キロあげて、時速30キロで走行した。

自動ブレーキがかかり、停止。距離は障害物から1メートル2センチだった。10キロ加速した分、10センチ進んだ結果となった。

検証の結果、この車では、時速30キロまでは衝突を防げることが分かった。しかし、時速40キロ以上で走行した場合は障害物への接触は避けられないという。

検証に協力した運送会社は「万が一、事故が起こってしまったときに事故をできるだけ小さくするための有効な装置」としている。