北陸新幹線が福井県内に開業して2年。県内の各駅を中心に街や人がどう変わったか成果や課題をシリーズ企画で伝えています。今回は、敦賀駅周辺です。
開業2年目以降も、駅前にはラーメン店やホテルが開業し新しい動きが広がっています。課題となっているのは「お金を落としてもらう仕掛け」。“通過する街”から“滞在の街”へ、そのヒントを探ります。
敦賀駅周辺で取材をしていると、「きょうはカニを食べにきた。市場に行く」(神奈川県から)「鉄道のまちなのでバスに乗って回ってみる」(千葉県から)と敦賀の食や鉄道を目当てに訪れる観光客が。
北陸新幹線開業直後と比べて落ち着きはあるものの、市内の観光来訪者数は堅調に推移しています。
敦賀駅前商店街振興組合・河藤正樹理事長:
「天気が良い連休や土日には本当に人通りが多い。夜には飲食店も軒並み満席満員の状態」
商店街など市中心部には新しい店も増えました。市は2022年度から、誘客につながる店舗改修や新築を対象とした補助金制度をスタート。これまでの採択数は約80件に上ります。
駅前の複合施設に入るラーメン店「かもめ」も、その一つ。
看板メニューは2018年に市がブランド化した敦賀真鯛を使った「潮ラーメン極」です。店主は「敦賀は港町で海の幸が美味しい。それをラーメンの一杯に込められると思って作った」と話します。
小林直史記者:
「いただきます。魚特有のクセはなく、鯛の甘みがじんわりと舌に残ります。」
来店客も「あっさりしていておいしい。(新幹線を)降りてすぐ食べれていい」「聞いたことのないラーメンだったので食べてみた」と話します。
市内で複数の飲食店を経営する今村裕一さんが、新幹線開業を契機に自慢の敦賀真鯛のラーメンをより多くの観光客に食べてもらいたいと去年8月、駅前に店を構えました。「敦賀に来たらふらっと寄ってもらえる、港町のおいしい食を味わえる店舗にしたい」と話します。
今村さんの店の向かいにあるビルにも先月、地元の不動産会社が補助金を活用して
新しい形態のホテルをオープンしました。
部屋の広さは約2畳。価格はいつ泊っても税込み4000円です。運営するDNKの引場さんは「北陸新幹線で人の流れも増える中、敦賀駅前徒歩1分の立地を生かして、もっと気軽にいろんな方に泊まって頂きたいという思いで作った」と話します。
一方、新幹線開業をチャンスと捉えるのは地元の商業者だけではありません。
去年7月には、東京に本社を置くビジネスホテルチェーンのドーミーインがオープン。地上10階建て全199室を備える大型ホテルで、内装には敦賀らしさを取り入れています。支配人は「敦賀は港のまちで、赤レンガ倉庫もある。このレンガ調でまず客を迎える」と話します。
大浴場前には北前船を展示し、宿泊客に敦賀の歴史を伝えています。
敦賀駅から徒歩8分で気比神宮との中間地点にあるという立地を生かして商店街のチラシを置くなど観光周遊にも一役買い「ここを起点にこの本町商店街、敦賀市を盛り上げていけるような存在になりたい」とします。
新幹線開業2周年で見えてきた課題もあります。
敦賀市まちづくり観光部・小川部長:
「来訪者数はある程度の数字を確保できている一方で、その観光消費額については目標に達していない」
市によると2024年の観光入込数は目標値を上回りましたが、一人当たりの消費額は目標値を下回りました。
そこで市が打ち出した一つが「高付加価値層」の取り込みです。「新年度、高付加価値層へアプローチするための宿泊施設について補助金を用意することに取り組んでいる」(小川部長)
また飲食や体験、宿のパッケージ化の支援や敦賀の歴史や文化の情報発信の強化などに取り組むとしています。
その情報発信の拠点として市が目を付けたのが駅のコンコースです。「北陸、中京、関西の乗り換えですごい人数なので、昨年度から駅の乗り換えコンコースに臨時の観光案内所を設けている」(小川部長)
休日には時間帯を絞ってコンシェルジュを配置。1日最大2万人とされる乗り換え客を「通過」で終わらせず、「立ち寄り」につなげる考えです。
市は、4年後の2030年には1人あたりの観光消費額を現状から2割増の7800円まで引き上げる目標を掲げています。
新幹線開業2周年、開業効果の最大化と持続化を目指す取り組みは、これからも続きます。
開業から2年が経ち、どの駅周辺でも開業の恩恵が見られる一方で、課題もはっきりと見えてきたようです。
先日発表された宿泊者の統計でも、福井は全国で最も外国人宿泊者が少ないという結果も出ています。
3年目となる今年は開業による「特需」を定着させ、広げるための「正念場」を迎えます。