小浜市にある「福井缶詰」が、空輸で運ばれた生のノルウェー産サバを使用した鯖缶を商品化しました。かつての味を追求し“世界一の鯖缶”を目指す取り組みを取材しました。
創業82年、日本海側最大の水産加工缶詰を製造する小浜市の福井缶詰。
取材した工場では他社ブランドの製品を受託し製造するOEM生産がメインで、主力となるカニの缶詰は全国シェアの4割を占めます。
地元で古くから親しまれるサバの缶詰も製造していて、若狭高校の生徒らと一般向けに商品開発した「若狭宇宙鯖缶」の製造販売も手がけています。
そんな福井缶詰が開発した新商品が「復刻鯖缶」です。ノルウェー産のサバを使用していますが、冷凍ではなく空輸で運ばれた生のノルウェー鯖を使っています。
去年10月に就任した6代目の重田洋志社長は、新商品の出来に絶対の自信を持っています。
「最初に口に入れたときに焼き立ての鯖の食感があり、脂がものすごいのにすっきりとしている味わい。冷凍サバと生サバは全く別物だった。冷凍されると繊維が壊れるので、どんな冷凍技術を使っても生には勝てない」
なぜ「復刻」なのかについては「小浜のサバはめっきりとれなくなった。それまではここでとれたフレッシュなサバをそのまま缶詰にしていた」と説明します。
現在、福井缶詰で使用されているサバは全てノルウェー産の冷凍ものが使われていますが、かつては地元で多く水揚げされた生のサバが使われていました。
しかし1970年代以降、漁獲量は激減。福井缶詰でも一時は鯖缶の製造は途絶えましたが、40年ほど前に先代の社長が、当時はまだ国内で見かけることがなかったノルウェー産のサバに着目。脂がのったおいしい鯖缶を作ることに成功し、福井缶詰の鯖缶はピンチを乗り越え、いまも主力商品として会社を支えています。
時代は進み、いまでは生のノルウェー鯖が手に入るようになりました。
重田社長は、これこそがかつての鯖缶の復刻の足掛かりになったといいます。
「単純に世界一の鯖缶を作りたいとの思いはあった。十分おいしいけどもう一つ上のランク、どこに並べても一番美味しい鯖缶を作りたかった」
円安の影響などでノルウェー鯖の価格は去年の約2倍に。さらにコストがかかる生サバを使った新商品は、2缶セットで4000円を超える“高級鯖缶”となりました。
しかし重田社長は、かつての“あの味”の復刻のため味には妥協しなかったと振り返ります。
「売れる売れないに関わらず味に特化した“これでもか”という鯖缶を作りたいとの思い。こんな時代だからこそ客のニーズをしっかりとらえ常に前進しなければ客の目には届かない。こういうときこそ攻める」
福井缶詰によりますと、全国では約1億缶以上の鯖缶が製造されていて、福井缶詰はそのうちの約5パーセントのシェアです。これを今後5年から10年の間に20パーセントまで引き上げたいとしています。
世界一の鯖缶を目指す老舗缶詰会社のプライドをかけた挑戦が続きます。