古城探検家の今泉慎一さんが、「豊臣兄弟ゆかりの“戦う城”」の歩き方と、秘められた歴史ドラマを紹介する本連載。第1回は、浅井長政(あざいながまさ)の居城・小谷城(滋賀・長浜市)です。

文・写真=今泉慎一

憧れのお市救出大作戦

織田信長の13歳年下の妹・お市の方といえば、戦国一の美女といっても過言ではありません。大河ドラマ『豊臣兄弟!』でも、家臣たちからのモテっぷりが描かれています。

豊臣兄弟の兄・秀吉にとっても憧れの存在。主君の妹ですから、そう簡単に想いを伝えたり、ましてや成就させることは叶いませんが、好色でも知られた秀吉。若い頃から「いつかはお市様を我が手に…」と考えていたのではないでしょうか。

南西麓から眺めた小谷城全景
南西麓から眺めた小谷城全景
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お市は近江の戦国武将・浅井長政に嫁ぎますが、長政は信長に反旗を翻したため、兄と妹で対立することになります。そして天正元年(1573)8月、ついに信長は長政が籠る居城・小谷城を攻めます。その最前線には秀吉もいました。

小谷城には夫・長政とともに、妻のお市、そして二人の間に生まれた幼い三姉妹もいました。自身を裏切った長政は憎くても、可愛い妹は助けたい。明確に指令があったかは定かではありませんが、信長の胸中はおそらくそうだったのでは?そして、秀吉ら家臣たちにも、その気持ちは伝わっていたものと思われます。