馬毛島の基地建設工事完了後を見据えた種子島の観光振興について考える講演会が西之表市で開催された。2030年の工事完了後、工事関係者が島を離れるタイミングを「アフター馬毛島」と位置づけ、今後の観光戦略を模索する動きが本格化している。

基地建設完了を見据えた観光戦略

西之表市の馬毛島では現在、アメリカ軍の訓練移転や自衛隊基地建設工事が進行中である。防衛省によると、これらの工事は2030年に完了する予定となっている。種子島の観光関係者らは、基地建設が終了し工事関係者が島を離れるタイミングを「アフター馬毛島」と名付け、この時期に向けた観光振興策について議論を重ねている。

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今回の講演会は、この「アフター馬毛島」における種子島の観光振興を考えることを目的として西之表市で開催された。会場では観光業界で活躍する3人が登壇し、種子島の観光資源を活用した具体的な振興策について提言を行った。

ロケット施設とファミリー層獲得が鍵

講演では、種子島の特徴的な観光資源であるロケット打ち上げ施設を生かしたファミリー層の獲得が重要な戦略として挙げられた。宇宙開発という他の地域にはない独自性を持つ種子島ならではの強みを、観光振興にどう結び付けていくかが議論の焦点となった。

また、近隣の屋久島からの観光客の取り込みを継続的に行っていくことの重要性についても言及された。世界自然遺産である屋久島を訪れる観光客を種子島にも誘導する仕組みづくりが、持続可能な観光振興には欠かせない要素として位置づけられている。

観光資源の活用に課題も

講演会を受けて、種子島観光協会の酒井通雄会長は現状について率直な見解を示した。「種子島の観光の素材をまだ生かしきれていないという現状が確認された」と述べ、豊富な観光資源を持ちながらも、その活用が十分でない現実を指摘した。

種子島には宇宙センターをはじめ、美しい海岸線や歴史的な文化遺産など、多彩な観光資源が存在している。しかし、これらの素材を効果的に組み合わせ、魅力的な観光商品として提供できていない課題が浮き彫りになった形である。

情報発信と観光地としての位置づけが重要

主催者である荒木旅館の荒木政臣専務は、講演会での意見交換を踏まえて今後の方向性を語った。「種子島がしっかり観光地であると位置づける情報発信や取り組みが大事と話した」と述べ、観光地としてのブランディングと情報発信力の強化が急務であることを強調した。

種子島は宇宙開発の拠点としての知名度はあるものの、観光地としての認知度はまだ十分とは言えない状況にある。そのため、観光地としての魅力を積極的に発信し、種子島を旅行先として選択してもらうための戦略的な取り組みが求められている。

2030年「工事終了」の先を描く
2030年「工事終了」の先を描く

今回の講演会は、「アフター馬毛島」という新たな局面に向けて、種子島の観光関係者が一丸となって取り組む姿勢を示すものとなった。2030年の工事完了まで約4年という時間を有効活用し、持続可能な観光振興策の構築に向けた議論が今後も続けられることが期待される。

(動画で見る▶2030年“アフター馬毛島”を見据える 種子島が狙う『ロケット×ファミリー』観光戦略とは)

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