中東情勢の緊迫が続く中で行われたものの、終始和やかなムードで終了した、日米首脳会談。

会談後の夕食会では、高市早苗首相がガッツポーズを見せる場面もあり、日米の“親密さ”を改めて確認することとなりました。

日本側として今回の会談は、“成功裏に終了”としましたが、原油価格の高騰にもつながっているイラン情勢は、新たな局面へと突入。
アメリカ現地メディアによると、アメリカ軍は中東に数千人の海兵隊員などを追加派遣し、イランの原油輸出拠点である、カーグ島の占拠・封鎖を検討していると報じています。

さらに20日、トランプ大統領は、ホワイトハウスで記者団に対し、「対話はできるが、停戦はしたくない。相手を壊滅させている時に停戦するわけがないだろう」と述べ、イランへの攻撃を続ける姿勢を強調しています。
6カ国共同声明が大きく貢献…イラン側も一定の理解か?
さらなる激化の可能性もある中東情勢。日本の対応は今後どうなっていくのでしょうか。

会談直後の『サン!シャイン』で、今回の日米首脳会談を100点中95点と高い評価をしていた、キヤノングローバル戦略研究所上席研究員の峯村健司氏に詳しく聞きました。

谷原章介キャスター:
(艦船派遣要請について)こちらは憲法上難しいんだということを説明して、それに理解してくれた、こちらの想定を超えた協力みたいなものは求められなかったのかなとは思いますが、だからといってイランの状態が安定するまでの一歩を踏み出せていたかというと、そちらは変わっていないですよね?
峯村健司氏:
(95点という評価は)高すぎるのではないかとご批判をいただきましたが、私は全くブレていません。今回どういう成果があったかというと、会談だけを見ると先送り的なものもありましたが、会談後何があったかと考えると、イランの(日本人の)人質が解放されたり、イラン側との外交対話が動き出したということもありました。
あと、今回一番恐れていたのはトランプ氏がどんどん孤立化していって、ある意味暴発してしまうみたいなことがあったわけですが、6カ国の共同声明を日本側がまとめたことによって、トランプ氏の暴走を止めて、国際協調の方に戻したと考えると、100点に近いと思っています。
峯村氏が触れた、“6カ国の共同声明”とは、19日に、日本・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・オランダの6カ国首脳によって出された共同声明のことです。

その内容は、イランによる商船や石油・ガス施設を含む民間インフラへの攻撃、ホルムズ海峡の事実上の封鎖を最も強い言葉で非難しており、また、イランに対しても攻撃の即時停止と国際法の順守などを求めるものでした。

峯村健司氏:
今回、この共同声明を直前にまとめたことが重要でして、これをやった立役者というのが、ヘグセス国防長官とそのカウンターパートの小泉防衛相であったと聞いています。
(事前協議で)かなりつめていたと聞いています。3月10、15日と両方(電話会談を)やっているんですが、いずれもヘグセス氏から電話をしたいというふうに言ってきて。
求めとしては「今アメリカはかなり困った状況にある」と、かなり原油も高騰し国際的にも孤立していると。トランプ大統領自体もすねたようなコメントをしたという中で、小泉氏に何を頼んだかというと、「ぜひヨーロッパ諸国とまとめてほしい」「首脳会談ではあまり個別の具体的な、どういう艦船を出してくれなどは言わないから、前向きなメッセージは出してほしい」ということで。為替相場、原油市場も安定させる、共同声明もまとめるという所に動いたと。

――共同声明を形にできたのはかなり大きかったと?
峯村健司氏:
これはまとめるのが非常に難しかった。時間のない中で日本とイギリスが中心に動き、会談の2時間前にヘグセス氏からトランプ氏に「今回、こういう共同声明がまとまったらしい」と報告をして、トランプ氏が相当喜ばれたということらしいので。この共同声明が、今回『戦後一番難しい首脳会談』の突破口になったのだと思います。
本当にギリギリ、(会談の)4時間くらいまでに出来上がって、伝達されたのが2時間前ということなので、これは本当に紙一重と。
様々な思惑が交錯した日米首脳会談。イラン側はどのように今回の会談を見たのでしょうか?中東問題に詳しい、放送大学の高橋和夫名誉教授は…。

放送大学 高橋和夫名誉教授:
イランとしては、戦争を始めたトランプさんに対して高市さんが「ドナルドしか平和は作れない」などと言ったのは、本気かどうかは別としてあまり面白くないのは確かです。
ただ、イランも大人ですから、そんな言い方はしなくて「日本はこれだけアメリカから圧力をかけられて大変だよね、でもよく耐えて自衛隊を送るとは言わなかった。よく頑張ってくれた」というところもあると思います。イラン側も日本が置かれている厳しい立場というのはよく知っているので、(今回の会談は)まぁまぁ(という評価)と。

――今後もガソリン価格の高騰や物価高への不安がありますが…
峯村健司氏:
「原油価格が上がらないでほしい」と一番世界で思っているのがトランプ氏なんです。
ですからトランプ氏の発言がブレるのも、なんとかしてこれを抑えたいと必死にやっているから…なのでグダグダに見えるんですけど。
ここはトランプ氏を説得していくことが大事ですし、ただ、これだけ湾岸諸国も含めて施設が破壊されていて、例えばLNG(液化天然ガス)施設とかだと復旧するのに5年かかったりするんです。
なので、仮に停戦が早く実現したとしても、あまりにも後遺症は大きすぎる、復旧にすごく時間はかかると。なので私は、残念ながら高止まりがしばらくは続くのだろうと思います。
(「サン!シャイン」 3月23日放送)
