日本時間23日午後8時過ぎ、トランプ大統領は自身のSNSで、48時間としていた軍事攻撃の期限を、急きょ「5日間延期する」と発表しました。

トランプ大統領:
今、イランにはもう一度、アメリカと同盟国への脅しを終わらせる機会がある。そして我々は彼らがそれを受け入れることを望んでいる。我々は合意に至る非常に高い可能性があると思っている、だから5日間の期間を与えている。そしてその結果を見る。

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アメリカとイスラエルによる攻撃開始から約3週間。
イラン・タブリーズでは住宅が攻撃を受けて子ども2人とその父親が死亡するなど、イラン保険当局によると、イラン全土での死者は1500人を超えたといいます。

一定のリミットを決めた上で、ホムルズ海峡の開放を迫るトランプ氏に対し、イランのアラグチ外相は「さらなる脅迫には屈しない」と反発。
さらに、イラン国防評議会は23日の声明で、「イラン領土への侵略の試みがあれば、ペルシャ湾のあらゆる接近ルートに機雷を敷設する」と警告しました。

今も攻撃の音やまず「イランは負けない」

今、イラン国内は一体どのような状況なのでしょうか。
23日、日本で働くイラン出身の通訳スタッフの元に、イランの首都・テヘランに住む家族から電話がかかってきたため、その内容を聞かせてもらいました。

日本に住む通訳スタッフ:
いまのテヘランはどう?

テヘランに住む父親:
爆発音が聞こえるよ。対空砲の音も聞こえる。

日本に住む通訳スタッフ:
軍事攻撃のリミットを、48時間から5日間に延期したって言っているけど、聞いた?

テヘランに住む父親:
うん、それも聞いた。アメリカ軍に「インフラを攻撃するな」と言ったとも聞いた。
イランは負けない、勝たなければならない。

イランとの交渉について、「我々は今、本当に良い協議をしている。彼らは平和を望んでいる。彼らは核兵器を持たないことに同意した」と語ったトランプ氏。

しかし、これに対してイラン側は、「アメリカといかなる交渉も行われていない」と真っ向から否定しています。

トランプ氏の迷走…終戦への道筋は?

イスラエルメディアは、アメリカはイランとの戦闘終結日を4月9日に設定し、早ければ今週中にパキスタンで、アメリカとイランによる和平交渉が行われる可能性があると報道しています。
今後、両国の交渉はどうなっていくのか。専門家に詳しく聞きました。

――今はお互いに出口を模索している状態なのでしょうか?
中東情勢に詳しい
放送大学 高橋和夫名誉教授:

イランは確かに(発電所を攻撃されると)国民の生活そのものが崩壊しますから、避けたいんです。避けたいんですけど、弱みを見せたらアメリカは絶対に降りてこないと。
停戦をここで受け入れて、そうするとまたアメリカは半年位したら態勢を立て直してまたやってくるのではないか。だから、「もうやらない」という約束をしてほしい、それを形で見せてほしいと。口約束ではなく。それがイラン側の最低限の要求ですよね。

――当初のアメリカ側はイランの体制が「親米」になるまでやるといっていましたが、それはもう諦めた?
そうですね、さすがにこの頃「人権」とかそんなこと言わなくなりましたから、とりあえず(戦争を)やめたいということですね。そこのところはちょっと現実的になってきました。ですが、イスラエルが問題で、イスラエルは民主化とは言わないんですけど、今の体制は困るという立場なので。
アメリカが言うように交渉が動いているのかな?という感触は、イスラエルのメディアがそう言っているからですね。だから、イスラエルのネタニヤフ首相は、トランプは裏で交渉しているだろうと疑っていると。

――アメリカとイスラエルの足並みはそろっていない?
トランプ氏の雰囲気は、ネタニヤフの口車に乗って「戦争は簡単だよ」と始めてみたら、「なんだこれは」っていうところではないかなと。

――イラン側は和平の条件として、「戦争が再開されない保証」や「米軍基地の閉鎖」、「賠償金の支払い」などを上げていますが。
イラン側は交渉事ですから、一番高い値段を付けてくるんです。
イランのアラグチ外相の家系は、ペルシャじゅうたんの商売人ですから、高い値段から始めてだんだん下がってくると思いますよ。満額回答なんていったら絶対に交渉はまとまらないから。
イランの人は交渉事が大好きなんですよ、だからそれで100点を取らなくては駄目ではなく、61点が取りたいんです。

――イランとして譲れない一線は?
イランとしての一線は、もう二度と、交渉するといって戦争するのはやめてよと。当たり前のことですが、もう2回だまされていますから。「終戦」です。

峯村健司氏(左) 高橋和夫名誉教授(右)
峯村健司氏(左) 高橋和夫名誉教授(右)

――今後、アメリカとイラン、双方の着地点はどうなっていくのでしょうか?
アメリカの政治事情に詳しい
キヤノングローバル戦略研究所 上席研究員 峯村健司氏:

これは本当に、トランプ氏が迷ってブレているのはここなんです。着地点がまだ見いだせていないというか、そもそも最初から着地点なんかなかったと言ってもいいぐらいですよね。戦争って一番大事なことは、戦争によって何をアメリカとして得るのか、国益にどう増大化するのかということが戦争の一番大事なポイントなんですが、そもそもトランプ政権自体ブレていたわけです。
イスラエルはイランの体制転換を目指すといっていて、トランプ氏は最初それに引きずられていたんですが、明確に国防総省の幹部たちが「うちは体制転換をやらない」と言っていたり、ブレまくっているので。ここが一番、出口が見えていないところが今のトランプ氏の迷走ぶりを示していると言えると思います。

――イラン側の求める着地点は?
放送大学 高橋和夫名誉教授:

イラン側が求めているのは、今の体制の生き残りですよね。勝つ必要はないから負けないと、引き延ばしていけばいいと。で、多分今イラン側はそれに成功していると思っています。

果たして、戦争は終結に向かうのか。今後の両国の動きに注目が集まります。
(「サン!シャイン」 3月24日放送)