日本時間の20日午前4時すぎ、トランプ大統領との日米首脳会談を終えた高市早苗首相。

会見後、注目が集まっているイラン情勢ついて、記者らに「エネルギーの安定供給を含む、中東地域の平和と安定の実現に向けて、日米間で緊密に意思疎通を続けていくということを確認しました」と話しました。
終始和やか…トランプ氏から「真珠湾」発言も
高市首相は、ホワイトハウスに到着するやいなやトランプ大統領とハグをし、なごやかな雰囲気で幕を開けた2度目の首脳会談。

会談の冒頭では、イラン情勢について両者の意見が交わされました。
トランプ大統領からは、ホルムズ海峡への自衛隊の派遣など、日本に対して何らかの支援要請があるのではないかと注目されていましたが…。

トランプ大統領:
私は日本が“ステップアップ”してくれることを期待しています。なぜならご存知の通り私たちは日本と緊密な関係を築いており、私たちも日本と共に協力してきたからです。
日本には4万5000人の兵士が駐留しています。私たちは日本に多額の資金を投じてきましたし、これまでもそうした関係を築いてきました。ですから、日本が“ステップアップ”してくれるのは当然のことだと思いますし、驚きもしません。

会談冒頭では、繰り返し“ステップアップ”という言葉で、日本の支援について語ったトランプ大統領。
撮影終了間際には、「日本は我々の石油や天然ガスの大規模な買い手だ。特にアラスカ州から購入する。アラスカは日本に非常に近いからだ」とこれから話す会談の内容を口にし、高市氏が「それは今から話し合うこと」と切り返す場面も見られました。

米国では、今回の会談についてどのような受け止めがなされたのでしょうか。フジテレビ・ワシントン支局の林記者に詳しく聞きました。

ワシントン支局 林英美記者:
会談の冒頭、トランプ大統領はいつもより緊張した表情でしたが、高市首相の冒頭発言の後から冗談を言って笑いを取るなど、会談は和やかな雰囲気で始まりました。
今回の会談に合わせて、日本がトランプ政権に対して巨額の投資や米国産の原油の増産に取り組むことを約束したことで、日本に一定の理解を示したものとみられます。
会談前には、ほとんどの米国メディアが今回の会談について、高市首相にとって試練になると伝え、トランプ大統領がホルムズ海峡へ艦船を派遣するよう高市首相に直接迫るだろうと報じられていましたが、予想を大きく裏切る形となりました。

一方で、記者から「イランへの攻撃について、同盟国に事前に伝えなかったのはなぜか」と問われたトランプ大統領は、「奇襲攻撃にしたかったから誰にも言わなかった。奇襲攻撃に関しては日本以上に詳しい国なんてないだろう。なぜ真珠湾攻撃のことを教えてくれなかった」と冗談を言う場面もあったといいます。
これに対し米国メディア各社は、数十年にわたり歴代米国大統領は真珠湾攻撃について厳しい発言を避けてきたが、トランプ大統領はタブーを破った。トランプ氏が外交規範を軽視することの傾向を示す最新の例だと伝えています。
事前協議も功を奏したか?今後の動きに注視
では、専門家は今回の会談をどのように評価したのでしょうか。
米国の政治情勢に詳しいキヤノングローバル戦略研究所・上席研究員の峯村健司氏と、フジテレビの松山俊行解説委員長に話を聞くと、二人とも「概ね成功である」という評価を下しました。
キヤノングローバル戦略研究所上席研究員 峯村健司氏:
私は普段厳しめに評価するのですが、今回は「戦後最も難しい日米首脳会談」だというなかで、ある意味それを乗り切っただけでも高得点かなと。最悪のシナリオでいうと、会談が破綻し何も成立しないということもあると思っていた中では、比較的良くやったと。
ただ、肝心のイランのホルムズ海峡をどう守るのかということを、突っ込まないことで回避したのですが、そこが宿題として残っていると。今後、そこで日米でもめる可能性はある。

谷原章介キャスター:
確かにイランの情勢というのは、具体的に何か進むことはなかったのですが、でもとりあえず米国ともめないことだけでも、今回は御の字だと?
峯村健司氏:
だと思います。これは、何かを取りに行くと言うより、とにかく同盟・友好を強化ということを出すことが一番の目標でしたので。

――今回、かなり事前協議がうまく行っていた?
フジテレビ 松山俊行解説委員長:
事前の事務方が米国政府に伝えていた内容が、アラスカでの原油の共同開発ですとかそういったことも含めて伝えてあったので、トランプ氏はイランの艦船の関係は日本を名指しで言ってはいたんですが、最終的に見ているのは「マーケット」だということを。マーケットで原油の価格を下げること、そして株価を上げること、そういったトランプ氏が喜ぶ内容を盛り込めば、事前に回避できるのではないかという考えがあったようで、それがうまくいったという部分があると。

マーケットを重視した対策が、うまく刺さる形で進められたと評価する一方で、一部、不安も残る内容だったとも言います。

フジテレビ 松山俊行解説委員長:
艦船派遣について「法律の範囲内でしかできない」と会談の中でいっているようなんですけども、そこの部分は、じゃあ終わった後にきちんと派遣するのかとか、やっぱり後になって艦船派遣してくれと言ってこないとも限らないので、実行をどこまで担保できるか、そこについてはハッキリとは言えなかったという部分は、不確定要素が残ったかなと。

峯村健司氏:
艦船派遣については、松山さんが仰ったように、「でも、出すんだよね?出すっていったよね?じゃあ早く出してくれ」と言われたり、あとはトランプ政権の高官たちから、日本の掃海技術、機雷を除去する技術は極めて高いという発言が最近増えていると。
当然、この「機雷除去については、積極的にやってくれるよね?」という発言が出ていますので、この辺りを今後要求されてくる可能性はあるとみています。

谷原章介キャスター:
高市首相はきちんと「日本の法律の上、できることとできないことは説明した」と仰っていますから、できないことは理解してもらったわけじゃないですか。その中でさらに艦船を出してこいと言う可能性があるんですか?
峯村健司氏:
ありうると思います。戦況が長期化したり、米国軍の装備とかが足りなくなってきた場合、十分可能性はありますね。

スペシャルキャスター カズレーザー氏:
会談前にトランプ大統領は、イランからの撤退を匂わせたり、米国の安全が保持できればすぐにひいてもいいという発言をされていたと思うのですが、その道筋はある程度見え始めている?

峯村健司氏:
道筋が見えている…と言うよりは、むしろ本当は早く手を引きたいと。
最近は、一緒に戦いをやったイスラエルにちょっと恨み言みたいのも増えていますので、どちらかというと早く手を引いて、「勝ちました」という姿を打ち出すことで、中間選挙に浮力を付けないのが本音だと思います。
フジテレビ 松山俊行解説委員長:
トランプ大統領はここ2、3日言っていることが二転三転していましたから。中国や英国、日本に対して(艦船を)出せといったと思ったら、その後自分たちでやるから必要ないといったり、その後また「解決法を各国考えろと」みたいなことを言ったり、かなり不安定な中での日米首脳会談だったので、どう出てくるかというのは分からない部分はあったんです。

――現状、日本の立場を理解してくれたと思っていい?
峯村健司氏:
比較的事務レベルでも、日本がこれまでやってきた海賊対処など、そういうことをやっているということは打ち込んではいるので、その辺りは評価されたと見ていいと思います。
フジテレビ 松山俊行解説委員長:
日本は今の段階では出せない、どういう法律的根拠を探ってもない、根拠がないものは出せないというスタンスだったんですけど、ただ、「今は出せない」といっているだけで、これから先出ないとは言っていないというスタンスなんです、政府側としては。
だから、停戦状態になるか、あるいは本当に戦闘が終わって、機雷の掃海みたいな得意な分野で派遣するということは十分あり得ることなので、そこをきちんと理詰めで今回高市氏はトランプ大統領に伝えることができたということなんだと思います。
だから、将来的には艦船の派遣は、可能性としてあると。
(「サン!シャイン」 3月20日放送)
