中道改革連合、立憲民主党、公明党の3党は合流の可能性を模索するが、いまだその道筋は見えてこない。1月に立憲・公明両党の衆院議員が中道改革連合を結成した際、参院議員や地方議員が残った立憲・公明両党との合流を目指すとしていた。
その後、2月の衆院選の結果を受け、合流に慎重な姿勢を崩さない立憲に対し、公明は合流に前向きな姿勢を示しており、先行合流の可能性も取り沙汰されている。3党の温度感や今後の課題などについて、関係者への取材を通じて迫った。
「合流に腰が引けている」発言に立憲反発
「公明党さんが前向きであるのに比べると、かなり慎重、腰が引けているというのは事実だと思う」
3党合流をめぐる立憲民主党の姿勢について、こう言及したのは中道改革連合の小川淳也代表だ。
小川氏は27日、東京都内で講演した際、2月の衆院選で中道が「あれだけ大敗したので慎重になるのはよく分かる」と理解を示しつつ、「逆に立憲民主党単独でこれからやっていくビジョンはあるのかということもいずれ聞かなければいけない」と述べた。
そして、「望んでする合流もあれば、例えば仮に不承不承だとしても時にやらざるをえない合流もある。真摯で丁寧な議論をしなければいけない」との考えを示した。
この小川氏の発言に対し、立憲民主党の一部からは反発する声も上がった。
衆院選での落選後、中道改革連合を離党し、立憲民主党に復党した亀井亜紀子元衆院議員はその日の夜、自身のSNSに投稿し、次のようにつづった。
「中道への合流について、立憲が『腰が引けている』のは当たり前だと思う。従来の立憲支持者が離れ、1+1が2にならないと衆院選を総括したのに、誰が喜んで行くだろうか」
さらに、「立憲は政策を変えていないし、悪いこともしていない。ただ衆院側が自滅しただけ。公明党の政策に合わせる必要がある?」と疑問を投げかけた。
また、2日後の29日、斎藤嘉隆国会対策委員長も記者団の取材に対し、「合流するにしても、そうでないにしても、これから色々深い協議を3党間でしていかなくてはいけない局面」として、慎重な発言を求めた。
その上で、発言が3党合流の行方に「結果として水を差してしまうことになりかねない。皆さんには見えないところで、静かに話し合いをしていただければよいのではないか」と指摘した。
小川代表が発言を謝罪 「痛切に反省」
一方、小川氏は29日の記者会見で、立憲民主党の姿勢について、「慎重なニュアンスが伝わってきているということは、メディアの皆さんも含めて衆目の一致するところだと思う」と述べた。
その上で、「慎重であるという受け止めは状況の説明だが、腰が引けているという表現はプラス、マイナス、ポジティブ、ネガティブな価値判断が入っている」と指摘し、次のように強調した。
「代表として控えるべき表現だった。価値判断を含む言い方はすべきではなかった。痛切に猛烈に反省して深くお詫びを申し上げたい」
さらに、「(立憲民主党の)水岡代表には当日のうちに謝罪、おわびの電話を入れ、田名部幹事長、徳永政調会長には直接、翌朝が同じ会合だったのでお詫び申し上げた」と明かし、次のような考えを示した。
「今後の3党間の連携や協力に支障を及ぼすことがないように私自身も意を尽くしたい。今後も慎重な発言と誠意ある態度で各党と向き合っていきたい」
公明は前向き 立憲出身者は慎重姿勢
立憲民主党が合流に慎重な姿勢を崩さない中、可能性が取り沙汰され始めているのが公明党の先行合流だ。
公明党の西田実仁幹事長は29日の記者会見で、「私たち公明党は早期合流について応える準備と決意はある」と強調した。
そして、中道改革連合が衆院選で比例代表で約1000万票を獲得したことに言及した上で、次のように指摘した。
「時ばかりが過ぎていって、いつ合流するのか、しないのか、どうしたいのか、自ら政党の先行きについても答えを出せない政治勢力に、日本の将来を任せるわけにいかないという率直な声も同時に今いただいている」
その上で、合流に慎重な立憲民主党を念頭に、次のように合流の判断を迫った。
「丁寧に議論することは必要だが、だからと言って時間をかければ何かよい答えが出るとも思っていない。決意と腹を持って、そうした期待に応えることが必要な段階に来ている」
中道改革連合の公明出身議員は「合流をめぐる結論はできるだけ早く出したい。早ければ7月中、遅くとも秋の臨時国会までには出したい」との考えを示す。
それでは、公明党の先行合流の可能性について、立憲側はどのように見ているのか。

先述の講演の中で、小川氏は公明党の先行合流について、司会者から見解を問われると、「理論的にはありうると思う」としつつ、次のように慎重な姿勢を示した。
「もたらす政治的影響がどうなるのか、よくよく3党間で慎重に議論する必要がある」
さらに、小川氏は会見でも「あくまで頭の体操として理論的にはありうるが、政治的影響を踏まえると慎重でなければならないというのが私の申し上げたかった真意だ」と強調した。
立憲民主党のある幹部は「公明党が無理をして先行合流すれば、公明党のイメージが強くなる。立憲民主党の合流どころか、党内の立憲出身議員が離党せざるをえなくなるのではないか」との見方を示す。
中道改革連合の立憲出身議員は「仮に公明党だけが先に合流したら世間からどう見られるか。所属議員の7割が公明出身者になる。第2の公明党だ」と戸惑いを隠さない。
また、衆院選で中道改革連合から立候補して落選した1人は、公明党だけが合流した場合には「離党する」と宣言し、「落選者の多くは別の新党を立ち上げようと動くのではないか。最終的に立憲出身者で党に残るのは小川代表と結成時にトップだった野田佳彦氏の2人だけではないか」と冷ややかに見る。
焦点は選挙区調整 比例優遇に不満も
「早期合流に応える準備と決意はある」とする公明党だが、その覚悟は選挙区調整で試されると指摘する声も出ている。
立憲出身者からは2028年の参院選をめぐる調整に加え、次の衆院選での公明出身者の比例の名簿順位での優遇見直しを求める声は根強くある。
中道改革連合のある立憲出身議員は「公明出身者だけが比例優遇されるような政党から立候補しようと思う人はいない」と苦しい胸の内を漏らす。
2月の衆院選では、立憲出身者は小選挙区で戦い、公明出身者は比例代表で名簿の上位に掲載された。このため、立憲出身者の多くが落選したのに対し、公明出身の候補者は全員当選した。
その後、オンライン形式で行われた落選者から意見を聞く会議では、多くの出席者から、公明党や公明支持者からの支援に対する感謝の言葉が述べられる一方、公明出身者の比例優遇については、「ほぼ復活当選のめどが立たず、支援者も含めて意欲をそがれた」「公示日に初めて聞いた」などの疑問や不満の声が相次いだ。
会議の中で、小川氏は「これからは基本的に皆さんが納得できるような形にしていく」と述べ、理解を求めたが、今後の党内融和を考えれば公明出身者の比例優遇の見直しが必要になってくるのは間違いない。
中道改革連合で公明出身の伊佐進一広報委員長は6日、自身のSNSに、「3党合流への私的見解。批判も承知で、正直に、赤裸々に書いた」とする投稿を寄せた。
この中では、「結論をいえば、一刻も早く合流したい」とした上で、「丁寧さを重視するあまり、『決められない』というイメージが、どんどん広がってしまっている。そろそろどこかでタイミングを決め、各党の、また3党に所属する一人一人が決断すべき場面が必要だと痛切に感じている」などとつづっている。
その上で、「避けて通れない選挙区調整」として、次のような考えを示している。
「あえて個人的な意見を申し述べるとすれば、同じ中道の議員となった以上、その出自に差を設けることはあってはならない。次の中道の戦い方は、どの議員も原則、小選挙区をもって、全員が平等に比例重複の可能性があるとすべきだ」
さらに、公明出身者が選択する選挙区が立憲出身者と重なる可能性を指摘し、「そうした場合には、一定の配慮が必要だ。コスタリカ方式となるのか、どちらかは比例単独を認めるのか」とつづった。
そして、「様々な工夫をこらしながら、『原則』すべての候補が小選挙区で戦う。ここは、出自の区別なく3党が融和されるうえで、避けられないと思う」との考えを示した。

先述の講演の中で、小川氏は「3党が身を寄せ合うように片輪走行を続けているという状態では、とても有権者の皆様から見て、安定感、期待感が生まれるはずがない」と強調した。
さらに、「政権の受け皿たりうる野党第1党を再構築しなければならない」として、次のように訴えた。
「ビジョンを示し、この国の将来あるべき姿を明確にその輪郭を描く。一方で、3党の組織課題を整理し、片輪走行を終了させ、衆参両院、都道府県連、地方組織、さらには地方議員、党員を擁する国民政党としての野党第1党を再建せねばならない。組織課題と政策課題、この2つがまさに私に課せられた党代表としての最大の使命であり、最大の責任であり、最大の職責である。その思いを持って、もうひと踏ん張り懸命の努力を続けたい」
中道・立憲・公明3党が様々な組織課題を乗り越えて合流を実現できるか、そして政権の受け皿たりうる野党第1党になれるか、その行方に注目したい。
(フジテレビ政治部 野党担当キャップ 木村大久)
