「家に潜むダニの数は、観測が始まった1964年から現在まで増え続けています。しかし、ダニの中で目立って増えているのは“チリダニ”です。つまり、アレルギーなど、近年家庭で起きているダニ問題の多くは“チリダニ”が主な原因になっていると考えられます」
こう話すのは、50年近くにわたって住居の中のダニ類の生態を研究し続ける医学博士の高岡正敏さん。
多くの問題を引き起こすチリダニの生態や効果的な駆除法を高岡さんに聞いた。
チリダニの生態
ダニ被害と聞くと真っ先に「刺される」ことを想像するかもしれない。
しかし、人を刺すのは主にツメダニの一種である「ミナミツメダニ」で、1970年代に猛威を振るったものの、近年は和室の減少とともに減り続けているという。
一方、顕著に増え続けているのがチリダニだ。
「家にいるチリダニは主に『コナヒョウヒダニ』と『ヤケヒョウヒダニ』の2種類。他のダニと同じように寝具などの暖かくて湿気の多い環境を好みます。前者は湿度60%~80%、後者は湿度70%~83%が繁殖に適した湿度といわれ、首都圏部では特にコナヒョウヒダニの増加が目立ちます」
どちらも餌となるのは人や動物が落としたふけや皮膚などのタンパク質だ。条件さえ良ければ3週間から1カ月の間に卵から成虫へ育ち、そして卵を産むという。
「メスは一生のうちに100個近い卵を産むとも言われています。大きさは卵で0.1mmほど、成虫で0.2~0.3mmほどと他のダニに比べても小さい。目に見えない非常にやっかいな存在です」
住環境の変化が増加の一因
では、チリダニだけが目立って増え続けているのはなぜなのか。
