高岡さんによると、チリダニが好んで住む場所を掃除するのが現実的な対策だという。

「特に注目すべきは寝具です。洗えるシーツやベッドパッドは週に1度のペースで洗い、洗えないベッドやふとんには掃除機をかけましょう。チリダニは条件が良ければ3週間から1カ月で卵から成虫になって卵を産むので、2週間〜3週間に1度のペースで掃除機をかけるのが目安です」

ちなみに、掃除機をかける際はちょっとしたコツがある。

「ベッド(布団)を4分割し、1箇所あたりゆっくり20秒くらいかけたら、もう1度同じ場所を20秒かけると、1度だけかけるより倍以上のダニが取れます。もっと繰り返せばさらに取れますが、2回かければ10回かけて取れる量の約50%のダニが取れるので十分です」

ベッドの掃除機がけは念入りに(画像はイメージ)
ベッドの掃除機がけは念入りに(画像はイメージ)

他にも、ソファやリビングのじゅうたん、カーペットなど餌と湿気が多い場所の掃除機がけが効果的なのは、他のダニと同じだ。

しかし、盲点なのが食品類だという。

「アメリカでは“パンケーキシンドローム”と呼ばれ社会問題になっているのですが、キッチンの粉物の袋に入り込んだチリダニが繁殖し、気付かずに食べてアナフィラキシーショックを起こすことがあるのです」

粉物はチリダニの大好物(画像はイメージ)
粉物はチリダニの大好物(画像はイメージ)

きれいに袋の口を閉めたつもりでも、チリダニは隙間から入り込んでしまう。粉物は食品保存容器に入れて密閉し、冷蔵庫で保存してほしい。

神経質にならずできる範囲で

ときに深刻な被害をもたらすチリダニに恐くなっただろうか。しかし、高岡さんは「チリダニを完全に取り除こうと神経質になる必要はありません」と補足する。

50年近く住居の中のダニ類の生態を研究し続ける医学博士の高岡正敏さん
50年近く住居の中のダニ類の生態を研究し続ける医学博士の高岡正敏さん

「寝具を頻繁に洗濯したり掃除機をかけたりするのは、理想的ではあっても現実的ではありません。小さなお子さんがいて気になる人や、アレルギー症状を発症しやすい人は気をつけた方がいいですが、健康な人なら多少掃除をおろそかにしてもすぐに重篤な症状が出る心配は少ないです」

“春”と“秋”の大掃除が「ダニを減らすサイクル」を生む!?重点的に叩くべき場所とアレルゲンごと取り除く掃除機のかけ方」でも触れたが、まめな掃除と洗濯が難しい人でも、3月~4月にかけての「春先」と9月~10月の「秋口」に1度ずつ大掃除すれば、1年を通してダニやアレルゲンを減らせる可能性が高い。

日々“できる範囲”で掃除しながら、春と秋に大掃除するのがチリダニ対策として有効だ。

高岡正敏(たかおか・まさとし)
株式会社ペストマネジメントラボ 代表
医学博士、獣医師
1971年に日本獣医畜産大学卒業。1972年から東京大学医科学研究所寄生虫研究部でダニの研究を始める。埼玉県衛生研究所環境衛生部技術吏員や埼玉医科大学非常勤講師などを兼務し、住居内のダニに関する調査を続けて膨大なデータを集める。2008年埼玉県衛生研究所を定年退職し、アレルギー疾患に対する治療法と予防法を確立するため株式会社ペストマネジメントラボを設立。著書に『お父さん、お母さんが知っておきたい ダニとアレルギーの話』、『ダニ病学』、『ダニの生物学』等。

取材・文=秦 大輔

プライムオンライン特集班
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