東京の卸売市場で進められる物流効率化。民間のアイディアを採用して改革に取り組む

市場の経営状態改善へ様々な取り組み加速

2月11日の午前7時ごろ、東京・世田谷区にある東京都中央卸売市場の世田谷市場に14組の親子が見学に訪れていた。

2027年に開催される国際園芸博覧会に向けた、子供への「花育」の一環で、市場関係者から案内されたのは、大学にある大きな講堂のような競り会場だ。

階段状の座席に、競りの参加者が座っていて舞台側では次々と色とりどりの花が出されては落札されていく。
競りには座席に用意された端末が使われている。

東京には、11の市場があり、地域の小学生の社会見学のほか、様々なイベントを通じて、市場の役割を発信している。

2024年度の東京都中央卸売市場会計決算は物価高騰などにより支出面が大幅に増加、営業損失が約140億円と経営状況が厳しい状況が続いている。

東京都では、経営状態を改善するため、老朽化対策、市場の機能強化、DX, 物流対策など、様々な取り組みを加速させている。

大田市場では「共同荷受け」とDX化

羽田空港に近い青果と花きの取扱量が日本一の大田市場。青果の1日当たりの取扱金額は、15・5億円にのぼる。

東京ドーム8個分より広い38万6000平方メートルの都内最大の敷地を持つが、年末年始などの繁忙期には、ミカンの箱で市場の置き場が埋め尽くされるなど、スペース不足が慢性化している。
市場の一部を二重構造にすることで対応しているが、今後抜本的な対策が必要だ。

物流効率化においても先駆的な取り組みが実施されている。その1つが「共同荷受け」だ。
大田市場には、一日600台以上の産地出荷トラックが市場に集まってくる。
これまで3社いる卸業者が、それぞれの発注したトラックの荷物だけ荷下ろしをしていたため1社が作業を終えるまで、待機するしかなかった。
より効率的に荷下ろしをするため、一部産地で3社分の荷下ろしをする共同荷受けを実施している。

次に、市場のDX化だ。
市場関係者が荷物を迅速に引き取れるよう、荷物の位置を正確に把握できる荷置き場案内システムを構築した。
民間の卸業者がシステム開発などをおこない、都が補助事業として支援している。

共同荷受けも、DX化も民間から出されたアイディアが取り入れられているのだ。

こうした効率化によって、これまで5時間以上かかることもあったトラックの滞留時間が、トラック予約システムを活用した車両に関しては9割近くが1時間あまりまで減少したという。

東京青果株式会社営業管理部 原田威さん:
我々民間側から提案したシステムを東京都に補助事業として支援してもらった。市場と我々卸業者が一緒になってさらに市場のDX化、効率化を進めていきたい。

淀橋市場でも民間による取組み

新宿・都庁からほど近くにある淀橋市場。ここでも、民間による取組みで物流の効率化がはかられている。

立地場所が都心にあることから都内のスーパーや八百屋の多くが淀橋市場の青果を取り扱う。この市場から出回る青果を多くの都民が口にしていると言っても過言ではない。

この市場の喫緊の課題は、騒音と交通渋滞だ。
マンションや住宅などに囲まれているこの市場に、午後10時を過ぎたころから100台以上のトラックが出入りする。
市場での荷捌きが滞ると、到着したトラックが市場周辺で待機することになる。
そうすると、騒音や交通渋滞の問題が発生する。

もともと市場のほうが先にあった場所にマンションなどが後で建てられたわけだが、住民側からすれば、関係ないといったところだ。

問題解決のために動いたのは、淀橋市場でも、民間の卸売会社だった。

淀橋市場では、スペースがない中で、効率的な荷下ろしや荷物の管理を行うため、高さ約25メートルの巨大な自動立体冷蔵倉庫が設置された。
仕組みは立体駐車場と似たようなもので、青果の入った箱が全自動で建物内に収納され、出したい時も自動で取り出せるというものだ。

そしてさらに、極めつけが、作業員が運転するフォークリフトを使わなくても、倉庫から場内に運ぶAGVと呼ばれる無人運搬車両も導入された。

最新技術を導入することで、物流問題の解消やコスト縮減を目指す。

東京新宿ベジフル株式会社常務取締役 長濵義友さん:
皆さんの食卓に並ぶものを取引しているという責任感で、日々職員とともに作業にあたっています。淀橋市場のさらなる発展に向けて市場に携わる企業として最先端技術の施設建設を決断いたしました。

大田市場、淀橋市場ともに、民間企業の力で効率化が進められている。
都政や区政においても、民間のアイディアと技術を今以上に取り入れていく時代が来るのかもしれない。

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