今から約50年前、ダムの底に沈んだ集落に、カメラが潜入しました。
福岡県朝倉市の小石原川に位置する「江川ダム」。
1972年に完成して以来、半世紀に渡り、私たちの暮らしを支えてきた「水がめ」ですが、かつてこの場所には約400人が暮らす集落がありました。
しかし、ダム建設とともに深い水の底へ。
ダム完成から50年あまり。
県内で、「雨不足」によるダムの貯水率低下が課題となる中、江川ダムを訪れると、普段は水に覆われている「ダムの底」があらわに。
そこに広がっていたのはー
◆記者リポート
「完全に住宅の壁だと思われますね」
50年の時を経て、ダムの底から出現した集落にカメラが潜入しました。
10日、福岡県庁で開かれた会議。
◆福岡県 服部知事
「福岡県の水事情、大変厳しい状況となっています」
水不足に対応するため、緊急で設置された「渇水対策本部」です。
冬場の設置は20年ぶりで、県内14の市や町で水道の水圧を下げる「減圧給水」を実施しているほか、夜間断水も検討されています。
16日、発表された県内21の主要ダムの平均貯水率は41.6%。
「平成の大渇水」と呼ばれた1994年以来、過去2番目の低水準ということです。
こうした中ー
◆筑後川上流総合管理所 山口浩二 所長
「水位が下がって、石垣などが見えている」
朝倉市の江川ダムでは水位の低下によって、かつてダムに沈んだ集落が出現したというのです。
急斜面を下って行くと、水は枯れ、地面はひび割れていました。
◆記者リポート
「私がいま立っている場所は満水時だと10メートルの深さに当たる場所です。このようにすべて露出してしまっています。私が立てるような状況になってしまっています。そして、あちら側見ますと民家の石垣のようなものがあります」
59年前、江川ダムの周辺には約400人が暮らす「江川谷」と呼ばれる集落がありました。
花が咲き誇り、地域の祭りには、多くの人が参加。
西鉄バスも走っていました。
しかしー
◆ダムの関係者(1967年放送のニュースより)
「一番最初の着手すべきところは江川ダム。江川ダムには70戸に及ぶ水没ができる訳でございます」
生活に欠かせない「水」を確保するため住民たちは移転し、集落は深い水の底に沈みました。
◆筑後川上流総合管理所 山口浩二 所長
「あの石垣の上の方に家があって、このあたりは農地というか」
渇水で姿を現した、ダムに沈んだ集落・江川谷。
壁や石垣は乾いた泥に覆われ、当時の面影はわずかに残るのみです。
◆筑後川上流総合管理所 山口浩二 所長
「50年前のものが今でも残っている。非常に歴史があるというか、ここで生活されていた住民の方に移動していただいて、ダムができた。非常に感謝している。どうしても雨が降らないと、水位が減ってきてこのような状態になる。今後雨が降って、早く水位が回復することを祈っている」
さまざまな場所で影響が広がる雨不足。
県は、こまめな節水を呼びかけています。