企業の人材開発について特集です。
労働人口の減少や首都圏への一極集中などで、地方では多くの中小企業が人手不足に直面しています。
こうしたなか、人材の定着・育成を目指す取り組みが、宮城県内で行われています。

1月に、仙台市青葉区で開催された「人材定着」と「組織開発」に関するプログラムの成果発表会。
組織開発を支援する太白区の企業が去年から仙台市と共同で行っているもので、今年は建設、医療、専門商社など、県内の中小企業10社から現場のリーダー的立場の人たちが参加しました。

参加企業は…
「組織の人数が増えるにあたって、なかなか人材育成の難しさを感じていまして、そこを改善したく参加しました」

「人材の流出…」「社員のやる気が低い」「コミュニケーションが希薄…」など、課題・悩みは様々。
このプログラムでは、7か月間にわたり、専属コーチと一緒に課題の洗い出しから、その改善に向けた取り組みを実施します。

参加企業は…
「(社員の)承認欲求が足りないという結果が出ました。じゃあそれってどうやったら改善できるのかってところで、私はご苦労様って言葉をやめました。私が『ご苦労様』って言われてうれしくないというのがありまして…」
「今もあるんです。どうせって。何かどこかで、『変わらないんじゃないか』って思うんですけども、でもやっぱり組織を変えていけるという思いを忘れないで、対話を通した課題解決の姿勢を継続していきたい」

プログラムを主催 Pallet 羽山暁子社長
「各社、人と組織の課題で悩んでいます。まずは採用ができない、採用しても定着せずやめる、人が期待通りに育たない。採用できない、定着しない、育成できない、この3大課題を解決していくプログラムになっています」

東北地方で「人手不足」に悩む企業は年々、増加傾向で、去年10月時点では49.5%とおよそ2社に1社。

また、厚生労働省の調査では離職した理由について「職場の人間関係が好ましくなかった」と回答した人が男女とも2番目に多く、「会社の将来が不安だった」という理由を挙げた人も一定数いました。

今回のプログラムを運営する羽山さんは、採用から定着と「社員に選ばれる企業」になるには組織内のコミュニケーションがカギを握ると話します。

Pallet 羽山暁子社長
「人材が定着しないという課題、それがなぜ起こっているのかというと、組織のコミュニケーションの課題が大きく要因としてある。その解決の手段として、組織開発をしていくより1人1人の感情に寄り添ったコミュニケーションを組織に増やしていくという取り組みを通して、1人1人の社員のやりがいを創出していく、引き出していくことにトライしてもらっている」

東北地方で業務用食品スーパーを展開するサトー商会。
店舗運営部門では定期的に会議を開いていますが、上司と部下の間に距離があり、部下が意見しにくいというのが長年の課題でした。
そこでこの部門の責任者である兼平さんがプログラムで学び導入したのが…

部下の男性
「私の心の点数は8点でお願いしたいと思います。その理由は、最近飼っている犬がいて、早朝に散歩するのが日課となっています」

「心」と「身体」の状態を点数化して発表する「チェックイン」。
場を和らげる目的です。

兼平さん
「小野さんお願いします」
部下の男性
「心の点数6点でお願いします。理由ですね。受験生の娘がいて家庭内、緊迫したピリピリ感もありながら…犬に癒されながら」

チェックインの導入で早くも変化があったそうです。

兼平さん
「(家庭に)受験生がいるとかもわかると、仕事の調整もしてあげられますし、今まで知らなかった、野球の監督をしているとか最近アロマにハマっているとか、今のメンタルの状態もわかりやすいところがやって良かったなと思うところです」

部下の男性
「以前はこうした話し合いの場は、議題に沿って始まっていくという感じでした」
Q空気は?
「重い感じですね。聞けなかったり、相談していいのかなというところも、話の流れで聞けるようになりましたし、答えていただけるようになったと感じています」

兼平さんの上司にあたる山本さんもプログラムに参加しました。
職場の雰囲気の変化を実感していると言います。

山本さん
「実際兼平って部下からすると雲の上の存在なんですけど、そういうのを感じさせなくなってきた。中小企業はやはり職場の環境をしっかりしないと、大企業と比較すると選ばれる確率は低いと思うので、そういった意味では組織開発を学ぶべきと思います」

プログラムを運営する羽山さんは、企業の生き残りに関わる経営課題だと指摘します。

Pallet 羽山暁子社長
「労働人口が減っていく中で、選ばれる組織になっていくことは経営の大きな課題だと思います。そこに手をいち早くつけた企業が生き残っていける」

組織が変わり、「選ばれる企業」になることで人材が定着し業績も向上する。
中小企業の未来は、まずそれぞれの組織の中にヒントがありそうです。

仙台放送
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