“うま味”のもとである「アミノ酸」、“渋み”の「カテキン」、“苦み”の「カフェイン」です。

(画像はイメージ)
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一般的には、これら3つの成分がバランスよく含まれていると“おいしいお茶”になるといわれています。

しかし、アミノ酸だけを多く含むように入れたお茶は、バランスよく入れたお茶よりもさらに“おいしい”と感じる人が多いのです。

冷たい水を使うのがコツ

では、アミノ酸だけを多く抽出するにはどうすればいいのでしょうか。

お茶は同じ茶葉でも「水の温度」や「茶葉の量」、「抽出時間」によって抽出される成分が変わります。

まずは「水の温度」について。アミノ酸を多く抽出するためには「冷蔵庫などで冷やした水」か「常温の水」を使うことが重要になります。

お湯でもアミノ酸は抽出されますが、50℃~60℃以上だと渋みのもとであるカテキンが、90℃~100℃の熱湯では苦みのもとであるカフェインまでが多く抽出されるからです。

お茶を入れる際はほとんどの人が熱いお湯を用意すると思いますが、苦みと渋みが強くなってしまうので、うま味成分という観点から見るといわゆる“水出し茶”がお勧めとなるのです。

水出し茶にはより多くのうま味成分が含まれている(画像はイメージ)
水出し茶にはより多くのうま味成分が含まれている(画像はイメージ)

続いて「茶葉の量」ですが、研究の結果、量が多いほどアミノ酸も多く抽出されることが分かっています。

では、できるだけたくさんの茶葉を使った方がいいと思うかもしれませんが、それは間違い。茶葉が水を吸いすぎてお茶を抽出しにくくなってしまいます。

1人前なら茶葉を約10~15g、水を約100~150mL入れると良いでしょう。2人前ならそれぞれ倍を目安に入れてください。

最後に「抽出時間」は15分を目安にしてください。長く感じるかもしれませんが、低温の水でアミノ酸を抽出するには時間が必要です。

まとめると「多めの茶葉に冷たい水を入れて、ゆっくり15分かけて抽出する」ということになります。

この方法で入れた「煎茶」は、アミノ酸の量が多い「玉露」にも負けないほどの“うま味”が感じられるでしょう。

緑茶の中でもうま味成分が特に多い玉露の茶葉(画像はイメージ)
緑茶の中でもうま味成分が特に多い玉露の茶葉(画像はイメージ)

むしろ、水で入れた煎茶と熱湯で入れた玉露を比べると、煎茶の方がおいしいと感じる人が多いはず。

お客さまに出せばきっと「うまい!」と驚きながら「これはどこの高級茶ですか?」と聞かれるでしょう。

またお茶を飲み慣れた人に出しても「これは…」と唸らせることができるはずです。

ちなみに、温かくておいしい煎茶を飲みたい場合は、水で入れた後に電子レンジで温めてください。成分の比率=味が変わることはありません。

スーパーで買った市販の茶葉でも最高級のうま味を感じられるので、ぜひ試してみてください。

大妻女子大学名誉教授で「お茶博士」としても著名な大森正司さん
大妻女子大学名誉教授で「お茶博士」としても著名な大森正司さん

大森正司(おおもり・まさし)
大妻女子大学名誉教授でお茶の魅力を広く伝える「お茶大学」の校長。

取材・文=内山直弥

大森正司
大森正司

大妻女子大学名誉教授。農学博士。NPO法人日本茶普及協会理事長、NPO法人日本食行動科学研究所所長、お茶料理研究会事務局長、茶需要拡大技術確立推進協議会会長などを歴任。「お茶博士」として幅広いメディアに出演。2021年に瑞宝小綬章受章。著書に『お茶で若く美しくなる』(読売新聞社)、『おいしい「お茶」の教科書』(PHP研究所)、『お茶の科学』(講談社ブルーバックス)など。