現職大統領再選の可能性

 
 
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トランプは2020年に再選されると思う。

だいぶ気が早いが、新年を迎えてそう考えた。

それには三つの理由がある。第一に米国の現職大統領は再選される可能性が高いことだ。第二次大戦後米国では11人の現職大統領が再選選挙に臨んだが、8人が再選を果たした。

再選できなかった3人は、フォード、カーター、父ブッシュだが、この内フォード大統領は任期途中で辞任したニクソン大統領に代わって副大統領から繰り上がって就任し選挙を経ていないので除外すると、現職大統領の再選の可能性は80%以上ということになる。

それもイラン問題でしくじったカーター大統領や、景気不振を招いた父ブッシュ大統領の場合と違い、トランプ大統領には今のところ政策的に大きな間違いは犯してていない。

乱立気味の民主党候補 

バイデン元副大統領(左)とヒラリー・クリントン前大統領候補(右)
バイデン元副大統領(左)とヒラリー・クリントン前大統領候補(右)

次に相手候補だ。民主党側では2ダース以上の候補者の名前があがっていて乱立気味だ。

これまでに公式に出馬を表明したのは、ジュリアン・カストロ(元住宅都市開発省長官)、リチャード・オジェダ(ウエストバージニア州上院議員)、ジョン・デレイニー(メリーランド州選出下院議員)の3人だが、この他にコーリー・ブーカー(ニュージャージー州選出上院議員)、カマラ・ハリス(カリフォルニア選出上院議員)などだが、皆さんはこれらの名前をご存知だろうか? 実は米国内でも知名度は低いのだ。

そこで、バイデン元副大統領やヒラリー・クリントン前大統領候補の出馬が取りざたされているが「新味がない」との声も高い。

組織と資金は大丈夫?

民主党の場合、党内の候補者の最初の討論会が今年6月に開催され、党内の候補者選びがスタートするが、今年は全ての日程が早まり有力州の予備選は12月に始まる。つまり、6月までには一年半の選挙戦を戦い抜く組織と資金を確保しておく必要があるわけだが、今のところそこまで準備できそうな候補は見当たらない。

ちなみに、前回の大統領選でヒラリー・クリントンは2015年4月までに組織と資金の準備を終えて正式な出馬表明をしていた。

一方のトランプ大統領は、昨年2月の大統領就任時にすでに2020年への出馬を連邦選挙委員会に届け出て公式に選挙運動を始め、昨年(2018年)2月には選挙参謀を指名した。資金的にもすでに3500万ドル(約40億円)を集めたとされる。
 

有権者は“弾劾”が嫌い?

 
 

もう一つトランプ大統領に有利にはたらく要素があるとすれば、意外と思われるかもしれないが下院での弾劾の動きだ。

中間選挙で過半数を獲得した民主党は、新議会でトランプ大統領への弾劾を目指していわゆる「ロシア疑惑」について厳しく追求すると言われる。しかし、1998年にクリントン大統領のインターンとの不倫問題で共和党が弾劾に向けて激しく追求した時に行われた中間選挙では、その共和党が議席を失うということになった。有権者は議会が弾劾にばかり熱をあげることには反対するのだ。

と、まあトランプ大統領に有利な条件ばかりをあげたが、選挙は2年後のことであり不確定な要素は多いのは当然だ。今年は米国の大統領選をめぐって何かと、かしましくなるはずなので、ご参考までにと考えたまで。

(執筆:ジャーナリスト 木村太郎)

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木村太郎
木村太郎

理屈は後から考える。それは、やはり民主主義とは思惟の多様性だと思うからです。考え方はいっぱいあった方がいい。違う見方を提示する役割、それが僕がやってきたことで、まだまだ世の中には必要なことなんじゃないかとは思っています。
アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレー出身。慶応義塾大学法学部卒業。
NHK記者を経験した後、フリージャーナリストに転身。フジテレビ系ニュース番組「ニュースJAPAN」や「FNNスーパーニュース」のコメンテーターを経て、現在は、フジテレビ系「Mr.サンデー」のコメンテーターを務める。